柴那典「フェス文化論」 第11回

2015年、フェスシーンはどう変わった? ヘッドライナーと動員数から見えた“今年の主役”

 また、もう一組の主役はthe telephonesだった。彼らは昨年12月に無期限活動休止を発表。その時にメンバーは「10周年イヤーの2015年を最高にテレフォンズらしいハッピーな一年にして駆け抜ける」とコメントしていたが、今年のヘッドライナー出演数は7。まさしく有言実行となった形だ。

 5月にはキャリア初の武道館単独公演が実現。ベスト盤『BEST HIT the telephones』とラストアルバム『Bye Bye Hello』を引っさげて各地をまわり、11月3日に地元・さいたまスーパーアリーナで開催した『the telephones Presents “Last Party ~We are DISCO!!!~”』で活動を締めくくった。ここ数年のフェスシーンの一大トレンドとなった“四つ打ちダンスロック”の立役者の一人となった彼らがこうして有終の美を飾ったことは、来年以降のシーンの動きにも影響を与えるのではないだろうか。

 10-FEETも躍進だ。『ROCK IN JAPAN FES』では初のヘッドライナーを、そして『COUNTDOWN JAPAN』ではメインステージの年越しアクトという大役を担わされている。自身が主宰する『京都大作戦』を筆頭にヘッドライナーをつとめたフェスの数は7つだが、それ以外でも様々な場所でオーディエンスを沸かせている。

 ちなみに、去年から今年にかけての10-FEETを巡る状況が特徴的なのは、新曲のリリースではなく、バンドのカリスマ性を由来に人気を拡大し続けていること。オリジナルアルバムのリリースは2012年の『thread』が最後だ。2014年にはコラボ盤『6-feet 2』とカバー盤『Re:6-feat 2』が発表されているが、考えると、かれこれ3年以上新譜が発表されていないことになる。そういうバンドが今もフェスの場で躍進を続けているのは、かなり異例のことと言っていい。

 『京都大作戦』ではまだ完成の途上だという未発表の新曲も披露していた。来年は久々となるニューアルバムのリリースにも期待したい。

 そして以下は、ASIAN KUNG-FU GENERATION、BRAHMANなどが続く。去年は6つのフェスのヘッドライナーをつとめフェスシーンの主役の座にあったサカナクションが草刈愛美(B)の妊娠・出産に伴ってライブ活動を休止していたことも、今年の趨勢には大きく影響しているはずだ。また、このランキングの上位に自らフェスを主宰するベテランのロックバンドが多くなるのは納得できるところだが、どちらかと言えばJ-POP寄りのアーティストであるスキマスイッチとナオト・インティライミがこの並びに入ってくるのも興味深い。

 では、最後に現時点の状況から来年の展望を予測していこう。『COUNTDOWN JAPAN 15/16』でヘッドライナーおよびカウントダウンをつとめるのは、ASIAN KUNG-FU GENERATION、[Alexandros]、サカナクション、10-FEETの4組。盤石の並びである。が、下の世代も着々と力をつけつつある。

 おそらく来年以降は、シーンの先頭を走ってきたKANA-BOONやキュウソネコカミ、KEYTALKなど、2010年代デビュー組のロックバンドがいよいよフェスの主役を張る姿が見られるようになっていくのではないだろうか。また、WANIMAや04 Limited Sazabysなど今年にブレイクを果たした新鋭がその支持をさらに広めていくことになる予感もする。

 期待したい。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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