『SCHOOL OF LOCK!』とーやま校長×レコチョク柴崎栄太郎氏特別対談

『SCHOOL OF LOCK!』とーやま校長と『Eggsプロジェクト』柴崎氏が語る"10代の衝動と音楽"「情熱を持ってやったら必ず届く」

 

「電話で話しながら、最初の声と終わりの声が全然違うようなこともある。それも10代の特権」(とーやま)

――以前と比べると、10代の子たちの音楽知識は増えている感じはありますよね。

とーやま:ありますよ。僕は36ですけど、10代のときはコピーバンド止まりで。その時に比べたら破格ですよね。バンドを組まなくてもパソコン1台でなんだってできるわけで、1人で応募してきているヤツも沢山いたし、すごいことになってますよね。

柴崎:僕が中学時代はTHE BLUE HEARTSとかJUN SKY WALKER(S) とかのバンドブームで僕もファンでよくコピーしていたんですよ。あの頃はすごくシンプルだったと思います。今は目指すレベルも上がってきたと思うんですよね。

とーやま:その一方で、シンプルなやつがカッコよかったりとかもするんですけどね。

柴崎:そう、それが逆に少数派になって際立つのかもしれないですね。技術とかじゃなく、熱さで勝負してるような。

とーやま:話は変わりますけど、Ken Yokoyamaさんがこの間『Mステ』に出られたじゃないですか。それを見て、ブログも読んで、「やっぱかっけえ!」って思って、次の日タワーレコードでCD買いに行ったんですよ。いまだに世の中には僕みたいなヤツが沢山いると思うんです。いくら年をとっても初期衝動は生まれるはずで。だからそういうことを信じてやっていたら必ず動いてくれるヤツもいて、そこにお金も生まれる。情報が溢れている時代だけど、シンプルに情熱と気持ちを持って何かをやったら必ず届くと思うし、そういうことも忘れずにいてほしいなと。

 

――とーやま校長は10代の子たちが今、どういう風に将来を見据えていると感じますか?

とーやま:これは僕らが大人になったからこそ言えることなんですけど、自分が作ってしまった壁や天井とかのせいで行き場をなくしてしまっている。それは僕が10代だった頃の同世代もそうだったろうし、時代が変わっても魂の部分は同じように感じます。

――10代ならではの焦燥感とか閉塞感みたいなものをひしひしと感じる。

とーやま:そうですね。それを未確認フェスティバルのアーティストの曲だったり、普段ラジオに来てくださるアーティストのみなさんの曲とかで、全部ぶち壊すことはできないけど、その壁のレンガ一個分くらいがポンッと空いたところは見せられると思うんです。その瞬間、壁を超えられたようなことも目の当たりにしてきてるんです。電話で話しながら、最初の声と終わりの声が全然違うようなこともある。それも10代の特権なのかなって思いますけどね。

――では最後に。10代の音楽を志している子たちに、どういうことを伝えたいですか?

柴崎:プロを目指す人もそうでない人も関係なく、まずは人前でパフォーマンスしてみてほしいですね。その中で自分の今の実力とか、音楽の本当の楽しさとか感動とか、いろんな可能性に気づいたりすることがあると思うので、どんどんチャレンジしてほしい。僕らはそのチャレンジの機会をどんどん提供して、「これに挑戦してみよう」と思ってもらえるような魅力的な舞台を用意していきたいって考えています。

とーやま:まず、ビビらずに何でもやってみることが大事だと思います。人前に出るのは怖いだろうし、叩かれることもあるかもしれないけれど、それをやらないと大きくなれないんで。あと、めちゃくちゃでもいいんじゃないかなって。AメロがあってBメロがあってサビがあってギターソロがあって......っていうのも大事ですけど、そうじゃないところに人の心を動かすものがある。突然サビが始まってサビだけで終わっちゃう曲とか、「なんだこれ?!」って思うようなものも、たまにあるんですよ、とんでもない化学反応を起こしているものが。そこを大事にしていってほしいなって感じますね。それも10代ならではだと思うんで。

(取材・文=柴 那典/写真=竹内洋平)

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