乃木坂46の13th選抜に見る“清々しい攻めの姿勢”とは? 各ポジションの配置意図を読み解く

 そんな下地作りを経て、間に“乃木坂46の象徴”と呼ぶにふさわしい生駒里奈のセンター復帰というドラマを挟む。グループとしても勢いに乗っている時期、そしてAKB48との兼任解除というタイミングでのセンター復帰など、話題は揃っている。ドラマ出演やセブン-イレブンとの大型タイアップなども用意され、実際『太陽ノック』は過去最大のセールスを記録した。そうなった後で、グループに何が必要になるのか。そして年末シーズンを見据えた展開をどうすればいいのか。その答えが、今回の「鉄壁な布陣」なのではないかと予想している。『太陽ノック』で成功した布陣をあまり動かすことなく、フロントの見栄えを変える。中心には生駒と並んで“乃木坂46の顔”である白石麻衣と、着実に知名度を上げつつある西野という2強を据えた。これはもう年末のさまざまな催しに向けての「守り」というよりは、ひたすら豪速球を続ける「攻め」みたいなものではないだろうか。正直、ここまで清々しい「攻め」はないと思う。

 そして、白石&西野の両サイドを衛藤美彩、深川麻衣という年長組が固める。2人は初期こそアンダーからのスタートだったが、今では選抜に欠かせない人材だ。アンダーからフロントへと上り詰めたという事実も素晴らしいが、アイドル自体が若年齢化へと向かう中、それに逆行するかのように20歳超えの“大人メンバー”が並ぶ絵面も強いものがある。さらに2列目には初十福神入りとなった齋藤飛鳥、久しぶりの十福神復帰となった星野みなみがいることも忘れてはならない。フロントからスタートしてアンダーまで落ち、再び選抜へと返り咲いた星野と、初期こそ何度か選抜入りしたものの、昨年1年間はアンダーで活動してアンダーライブで地道な経験を積んだ齋藤という“次世代組”を投入するバランス感を取りつつも、秋元真夏、生田絵梨花、高山一実、橋本奈々未という安定メンバーも残す。選抜メンバー自体は前作からほぼ代わり映えしないものの、駒の位置を変えることで新鮮さを保つ。さらにそこには何かしらの意味を含ませつつ。

 となると生駒や、キャプテン桜井玲香が3列目に下がったことにも意味があるはずだ。センターからいきなり3列目へと“下げられた”と受け取れば、きっと生駒にとってはショックな出来事だったに違いない。しかし、もはや生駒にとっては立ち位置は問題ではないのではないかと考えている。どこに行っても輝けることをAKB48との兼任で証明した彼女は、今回の戦略で前回フォワードを務めた人間(生駒)がグループを指揮する人間(桜井)と一緒に最後列に回ることで、バックを固める。さらに同じ列には若月佑美、松村沙友理といった心強いメンバーや、井上小百合や伊藤万理華というアンダーライブからの叩き上げもいる。個人的には史上最強の「バック6」だと考えるのだが、いかがだろうか。

 と、ここまで読んで気付いた方もいるかもしれないが、乃木坂46の選抜メンバーは試合ごとに変わるサッカーのフォーメーションに似ている気がする。先日とあるインタビューで衛藤や深川と話した際にも同じ話題になったばかりで、メンバーもそのようなことを考えながら毎回それぞれのポジションで自身の役割に徹しているのかと納得したものだ。新たな可能性を感じさせつつも、ガチで年末のアレ……大晦日の国民的音楽番組に出演するというリベンジを果たすため、彼女たちは攻めなければならないのだ。

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