2ndアルバム『WHO』インタビュー

電波少女が語る、ネットラップの強み「表に出るのが苦手でも、ヒップホップで表現できる」

「ネットラップは、スキルでいえばトップクラス」

ーー今回のアルバム『WHO』では、そんなネットラップシーンのさまざまなアーティストが参加していますね。

ハシシ:今回は、フィーチャリングをたくさんすることによって、ネットラップのコンピレーションアルバムのような作品にしたかったんです。楽曲もドラムンベースから王道の90’sヒップホップ的なものまでいろいろと入れて、音楽性の幅の広さや構成力、そしてなによりスキルを見せたかった。そのために今回の作品では、あえてラップ自体は余分なものを削ぎ落としてシンプルに作って、全体に馴染ませるようなスタイルを意識しています。

ーー個性が強すぎるフロウなどは、あえて使っていないと。

ハシシ:そうですね。日本語を英語っぽく発声したりするのではなくて、日本語をいかにかっこよく聴かせるかに注力しているというか。そうすることによって色んなアーティストとうまくフィットした部分はあるかもしれません。

ーーヒップホップ界隈ではあまり見られないようなコラボも面白いですね。ネットカルチャーをうまく消化しているところが、大きな特徴かもしれません。

ハシシ:5曲目の「This world is クソゲー feat.SHAKABOOZ」などは、たしかにネットっぽいノリですね。すごくBPMが早くて、明らかにヒップホップのトラックではない。ヒップホップでこういう試みをすると、場合によっては軟弱な印象になるけれども、それをかっこよく仕上げることによってスキルを見せたかった曲ですね。実は収録するかどうか迷った曲ではあるんですけど、この曲を入れることによって幅の広さを見せられるし、それは今後の活動にも繋がると思って入れることにしました。

ーー10曲目「idler stella feat.nera_K, ぼくのりりっくのぼうよみ, 野崎りこん」などは、歌い手などのニコ動カルチャーとの近さも感じます。

ハシシ:それは僕がやっているレーベルというか、グループのなかから何人かを呼んでやってみたら、結果的にネットと親和性の高い曲に仕上がったという感じです。でも、うまくネットラップの面白さの一面を伝えられるようになったと思います。

MO feat.NIHA-C

ーーNIHA-Cなど、フィーチャリングしているラッパーについてはどうですか。

ハシシ:ネットラップでやっているひとは、実はすごくラップの筋力があるひとが多くて、スキルでいえばトップクラスだと思っているんです。もしかしたらネットラップには、ストイックなタイプが多いのかもしれません。もちろん、いまは積極的にライブをする人も増えましたし、それこそJinmenusagiなんかは日本語ラップのシーンでも認知されています。ネットラップにはいろんな猛者がいて、そういう人たちとフィーチャリングでしっかり向き合っているということは、ちゃんと見せたかったポイントですね。

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