ブレイク前夜のトラックメイカー・ユニットSugar's Campaign ライター2氏がそのポップ性を分析

Sugar's Campagne feat.IZUMI

 また、音楽ジャーナリストの柴那典氏は、Sugar's Campaignの楽曲面・音楽性についてこう語る。

「彼らの楽曲には、“知性的なポップス”の魅力がありますね。音楽をロジカルに解釈できる人が、ブラックミュージックの要素を日本のポップミュージックの中に位置づけるようなアプローチ方法も感じます。そういう意味では、山下達郎や久保田利伸の系譜に属すると言えるかもしれないですね。tofubeatsと同世代で、関西と言うエリアやネットレーベルという状況も一致していることも事象の一つとして挙げられることが多いです。彼らに感覚として共通しているのは、かつて90年代に外資系CDショップのアーカイブに簡単に触れることができるようになって渋谷系シーンが出来てきたのと同じように、ネットのフラットさを前提としていること。コアなこともできるけど、ポップなものも作れるという絶妙なコントロールができるのだと思います。これはセンスの問題で、絶妙なポイントを付かないとあざといのですが、見事ですね」

 tofubeatsとの差異については、キャラクター部分において伸びしろがあると語る。

「tofubeatsには、90年代後半以降のJ-POPとヒップホップが背景にありますが、Sugar's Campaignの場合は、どちらかと言えば80年代後半のニューウェーブと、さらに遡っていけばモータウン的なセンスが強いです。そしてどちらも基本的にはゲストボーカルを招く形で制作している。00年代初頭のm-floがこういった手法の先駆けになっていました。ただ、m-floにしてもtofubeatsにしても、歌ってる人の記名性が高ければ高いほどメジャーな領域での広がりのあるがゆえに、芸能人や著名な歌手をボーカリストに起用したりしています。が、彼らはそういった部分においての回路が未だ働いていない。今は曲だけで評価されている部分もあると思います。そこには伸びしろや可能性を感じますね」

 今後は、「ネトカノ」など、彼らの楽曲の大半でボーカルを務める歌い手・あきおを起用し続けるのか、今回IZUMIを起用したように、毎回違ったボーカリストを迎えるのかは未だわからないが、Sugar's Campaignは“ボーカルの記名性”を排除したポップスを貫く存在として、今後台頭していくのかもしれない。

(文=編集部)

Sugar's Campaign『ネトカノ』

■リリース情報
『ネトカノ』
発売:2014年9月3日
価格:¥1,000(税込)

■ライブ情報
Sugar's Campaign単独公演『ネトカノリリパ』
○東京公演
11月2日(日) 東京・代官山UNIT
○大阪公演
11月3日(月) 大阪・Grand Cafe

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