豊田道倫＋カンパニー松尾が語る、2014年の言葉と音楽「皆のモヤモヤしたエネルギーを感じる」

「最近はねぇ、セックスするより喋ってる方が楽しい（笑）」（松尾）

豊田：最近解散を発表した昆虫キッズとかもそうだけど、東京の人はみんなクールなんですよね。青春感あってもあんまり表に出さない。松尾さんたちの映画はちょっと違って、東京に出て来ている人達の思い出づくりっていうか、そういう感じはありますよね。地方出身者の東京の人たちの良い仕事。松尾さんのハマジムっていうのはそういうひとつの共同体じゃないかな。

松尾：HMJM（ハマジム）の場合は意図的につくったんで、仲間的な、物質的な感じになっちゃうんですよね。僕自身が、あまり人に怒ることがなくて厳しさが足りないんです。それといい意味でいい加減なんで、皆のびのびとしちゃってて。のびのびとする場所で育つ子は育ちますけど、本当は厳しくしなきゃいけないときにやってないんで、のびのび部活動、厳しい先輩がいない部活動みたいな、そんな感じになっていますね。

　とにかく年々売り上げが悪くなるんで、ギリギリではあります。ただ、ここまできて普通の仕事に戻るとかは考えられないんで。HMJM（ハマジム）がなくなったとしても、AVはやるんじゃないですかね。あとはアソコだけの問題で（笑）。豊田くんの場合は喉だけどね。

豊田：松尾さん、セックスシーン若干つらそうな時がありますよね。松尾さんはしゃべってる方が元気だけど、いざ始まると、切迫感があって。それが楽しくなってくる（笑）。

松尾：そう最近はねぇ、セックスするより喋ってる方が楽しい（笑）。考えればもう50になりますから、そりゃぁもういい加減、そろそろ降りたいですよね。あと10年、勃つか自信がないですけどね。

豊田：一般人にはそうできないですよ。

松尾：いや、そういう意味ではやり過ぎましたから、最後このままじゃ済まないんじゃないかなって不安もあるんですよね、悪い事が起きるんじゃないかなって（笑）。映画とかも、上映するときは電源入れるだけだから、拍手もらうと「これでいいのかな」と思っちゃう。その点、ミュージシャンの方はライブをするとなると、しっかり楽器をまわさなきゃいけない。

豊田：良いライブっていうのは、年間一本くらいしかないかなあ。自分の中で。

松尾：今度のアルバムはいい形でショップでは普通に流通してるんでしょ？

豊田：CDの流通はブリッジに委託してます。

松尾：アマゾンとかで売れるんじゃない？　アマゾンも、案外おすすめを外さなかったりするからね。通販という手段は、売る側としては問題ないんでしょ？店で買ってほしいとかあるの？

豊田：いや、特にそういうのはないです。ただ、東京にいてもアマゾンで買ってたりしますね。

松尾：思うんだけど、ネットって検索しないといけないじゃないですか。自分の意志が働いて、絞りこまないといけないけど、店ってもっとフラットにいろんなものが飛び込んできちゃうから、そういう発見もあったのが、なくなってきてしまってるんですよね。通販は便利なんだけど。だからジャケ買いとかがなくなって。良し悪しだとは思いますけど。

豊田：店舗だと、メーカーの力で棚の大きさも変わりますね。

松尾： AVも同じで、金あるメーカーが棚を買っちゃうんですよ、ショップで一番目立つ棚を。だからお金がないメーカーは一番奥の方に並ばされるわけです。もちろん人目に触れるチャンスもどんどん減ってくる。でも、僕らがそこを気にして作るってわけにはいかないからね。

豊田：そうですよね。前の『SING A SONG』はけっこう売れたんですよ。だから『SING A SONG2』も売れてほしい。じわじわ、じわじわと。

（取材＝神谷弘一／構成＝韓奈侑／撮影＝山本光恵）

豊田道倫『SING A SONG 2』（FJP-TRAX）

■リリース情報
『SING A SONG 2』
発売：2014年8月6日（水）
価格：￥3240

CD3枚組、全40曲収録

■ライブ情報
豊田道倫『SING A SONG 2』発売記念コンサート
日時：2014年8月5日（火）開場18:30／開演19:00
場所：東京・渋谷TSUTAYA O-nest
前売：￥2500　当日：￥3000（共にD別）
前売り：店頭、ローソン、イープラス　Lコード【74923】
メール予約：mt_ticket@yahoo.co.jp

出演：豊田道倫　PA：内田直之
オープニング・トーク（『SING A SONG』から『2』までの10年、色々なこと、愛のこと）
トーク・ゲスト：カンパニー松尾、川本真琴