『すべてのJ-POPはパクリである』インタビュー(後編)

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 昔、音楽シーンが変わった瞬間って、業界のインサイドからではなく、アウトサイドから来るものが爆発した時だと思うんです。ザ・ブルーハーツとかBOØWYとか。今の音楽業界にはそういう外圧が必要なんだと思います。

 ヴィジュアル系とかはそういうものに干渉しない、独自のシーンを形成しているので、顧客へのサービスに対する徹底を考えつくしているんです。

 ただ、そこで従属してしまう人たちも、シーンが出来上がっているからこそ多いです。かつ、シーンが飽和状態で。ヴィジュアル系シーンを真面目に分析すると、ライブの音像が完全なドンシャリなんですよ。低音と高音しかなくて、中音域の音が出ていない。でも、各々のスキルは低いかって言われると、全く違って。むしろ彼らのスキルは高いし、ミュージシャンシップもある。じゃあなぜそうするんでしょうか?高い音圧の「ドーン」「シャーン」があるだけで、お客さんは「ヤバい」と思うからなんです。だから「そんなことどうでもいい」って現場になってるんですよ。そりゃ生演奏やってる必要ないって、ゴールデンボンバーも出てきますよね(笑)。

 そういうアイデアが許されたのも、ヴィジュアル系ならではなのかなとも思うし。だから音楽性もクソもないと言ったら旧来のヴィジュアル系ファンから怒られたんですけど(笑)。

 大事にしているものもありつつ、それよりも優先しているものがあるから、ゴールデンボンバーみたいな独自の進化を遂げていくんですけど、「ヴィジュアル系」ってそういう進化を遂げてきた分、音楽ジャンルというより、一つのビジネスモデルな気がするんです。だから、音楽的な隙間はまだあるはずなんですよ。そこが面白くならないかなと思いますね。

(取材・文=中村拓海)

■リリース情報
『すべてのJ-POPはパクリである (~現代ポップス論考)』(扶桑社)
発売:1月29日
価格:1200円+税

<収録内容>
第1章 ヒット曲の法則
・ヒット曲を生み出す時代背景
・カノン進行は一発屋を生む?
……など

第2章 なぜCDが売れなくなったのか?
・ファッション化する音楽
・AKB48の曲がヒットする2つの理由
・ももクロのジャンクさは確信犯
・ジャニーズという「ジャンルのすごさ」
・ビジュアル系をビジュアル系足らしめる3要素
……など

第3章 モノマネから発するオリジナリティー
・作詞作曲モノマネはオリジナルなものを生み出す
・オリジネイタータイプとフォロワータイプ
……など

第4章 日本のポップスはすべてノベルティー・ソングだ
・アーティストの非常に「柔らかい部分」
・「ノベルティー・ソング」とは何か
・「人格/規格」という見立てでアーティストの秘密がわかる
・パクリ論争などバカバカしい
……など

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