剛力彩芽ニューシングル速攻レビュー 叩かれたデビュー曲から「路線変更なし」の理由は?

 月内公開に向けて鋭意作業中との噂のミュージック・ビデオでは、激しいヒップホップ・ダンスに挑戦(これは軽快でポップな楽曲とは裏腹に、重厚なトラックとのギャップを優先してのチョイスだろうか)。前作同様キレキレのパフォーマンスに期待できるが、本作でようやく剛力彩芽のアーティスト像もおぼろげながら確立されそうだ。過剰なほどに叩かれてしまった前作から、大きな路線変更はない。むしろ、そういった意味では変化しないことが、非常に挑戦的な姿勢と言えるかもしれない(同録の「Dear MY FRIEND」は「友達より大事な人」の続編的内容で、「up!! up!!」は彼女自身が作詞家と相談しながら制作した剛力流のポジティブな応援ソングとなっている)

「音楽は役じゃなくて、剛力彩芽そのもの。演じる必要がない」

 これは彼女の発言だ。表題曲ではなくこれまでの楽曲に対してのものだが、なるほど、合点がいく。常にポジティブだ。哀愁を漂わせ、叙情的に歌い上げる楽曲は、現段階での剛力彩芽は選択しないのかもしれない。「雨ニモマケズ 風ニモマケズ~(中略)イツモシズカニワラッテヰル」。そこまで自己犠牲的ではないが、なににも負けない剛力彩芽を見ていると、少しだけ宮澤賢治が脳裏をよぎった。
(文=中西英雄)

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