鈴木朋子のテックナビ・第3回

夏休みで知っておきたいGeminiとYouTubeの安全設定・ペアレンタルコントロール

 いよいよ夏休み。この時期になると、保護者の方から「動画ばかり見ている」「夜中もスマホがやめられない」といった相談が増えます。動画共有サービス、オンラインゲーム、SNSでの会話など、スマホには子どもを惹きつける魅力的なコンテンツがたくさんあります。保護者と子どもの熱い戦いが今年の夏も繰り広げられてしまうかもしれません。

 Googleは夏休みを迎えるにあたって、「家庭でのデジタルセーフティに関する説明会」をメディア向けに開催しました。GeminiとYouTubeを中心に、子どもが安全に利用するための方法を紹介してくれるとのこと。新たな発見を求めて、参加してみました。

Geminiを上手に使って子どもの疑問を解消する

 子どもとスマホに関しては、「利用時間の制限」「コンテンツのフィルタリング」など、制限に関する機能が話題になります。しかし、Googleは単に制限するだけでなく、「学びを支える設計」と「家庭の選択肢を広げる設計」という2つの柱を大切にしているそうです。

 まずは、GoogleのAI「Gemini」活用について説明がありました。自身も子育て中という担当者は、「お子さんから『なんで月は形が変わるの?』とか『虫の自由研究、何やればいい?』と聞かれて、すぐに分かりやすく答えられますか?」と会場に問いかけました。正解をぱっと教えてしまうのは簡単だけれど、子どもの好奇心にたっぷり時間を使って向き合うのは、想像以上に難しいという話に、会場からも共感の空気が伝わってきました。
 
 本題に入る前に紹介されたのが「AIファミリーガイド」という資料です。何歳からどうAIを使わせるかは家庭によって違うという前提のうえで、「一番大事なのは、親子で話してルールを一緒に決めることが大事」という説明がありました。小中学生の場合は一人で使わせるのではなく、大人と一緒に話し合いながら操作することを勧めているそうです。

 子どもの学びに使える機能として紹介されたのが、Geminiのプラスボタンの中にある「ガイド付き学習」です。この機能は答えを教えるのではなく、問いかけを重ねながら子ども自身が考えて答えにたどり着く力を育てるものだと説明されました。

 私も試してみましたが、質問に答えていくと回答に導かれていくので、いきなり答えが出る通常のモードよりも内容が頭に入りやすくなると感じました。

「ガイド付き学習」を使えば、問題を段階的に解説してくれる

 具体例として挙げられたのが、夏休みの定番である読書感想文です。通常モードのGeminiに「作文の書き方」を相談すると、書き方のコツをそのまま答えてくれます。一方でガイド付き学習モードにすると、たとえば「主人公が悲しいと感じた気持ちを、もう少し深く考えてみよう。どんな感情だと思う?」というふうに問いかけてきて、子どもが選んだ答えに応じて、段階的に感情の言語化をサポートしてくれるとのことでした。

 次に紹介されたのが自由研究のアイデア出しです。「子どもが楽しく取り組めるアイデアを20個考えて、必要な準備も教えて」とGeminiに話しかけると、「公園の虫マップ作り」や「夜の昆虫レストラン」といった、子どもの好奇心を刺激するアイデアと、必要な準備物やアドバイスまで一瞬で提案してくれる、というデモが披露されました。

 技術的に面白かったのが、同じくプラスボタンの中にある「キャンバス機能」のデモです。「月はなぜ形が変わるの?」という子どもの質問に言葉で説明するのは難しいけれど、そんなときは「月はなぜカタチが変わるのか、地球と月の位置関係と回転によってカタチが変わることをシミュレーションしながら理解できる、interactiveなシミュレーターを作って」とお願いするだけでいい、とのこと。

 実際にその場でプロンプトを入力すると、コードがものすごいスピードで自動生成されていき、1分ほどで月の満ち欠けシミュレーターが完成しました。教科書の図だけでは実感が湧きにくかった子どもも、自分で動かしてみることで理解が進むだろう、という説明でした。

 こちらも実際に試してみましたが、生成されたコードを実際に見て、実行の手順も学べるので、良い機会になると思います。お子さんにはプロンプトを考えるのが難しいかもしれないので、親も一緒になって考えてあげるといいですね。その際にどのようなプロンプトがいいのかをGeminiと相談しても良さそうです。

筆者が上記プロンプトをGeminiに入れた「月の満ち欠けシミュレーター」

 このほかにも、子どもに合わせたオーダーメイドの学習計画を立てる機能や、スマホのカメラを問題にかざして声で会話しながら解き方のヒントをもらえる「Gemini Live」も紹介されました。また、学びたい項目に関してクイズを作ってもらうというアイデアもあり、ゲーム感覚で学ぶことができそうです。

YouTubeは子ども用やペアレンタルコントロールを活用

 続いて、YouTubeの説明がありました。YouTubeは昨年20周年を迎えましたが、ずっと多くの視聴者から支持され続けているジャンルのひとつが「学び」だそうです。YouTubeには、小学生の国語から大学生向けの高等数学まで、あらゆるトピックを網羅した教育コンテンツがあります。とはいえ、保護者としてはYouTubeとの付き合い方が気になるところでしょう。

 YouTubeとの付き合い方は、年齢に応じて3段階の使い方ができます。

YouTubeは年齢ごとに管理方法が用意されています

 ひとつ目は「YouTube Kids」。これはYouTube本体とは別の、13歳未満の子ども専用アプリです。子ども向けのコンテンツしか表示されず、コメント機能のような双方向のやり取りができる機能もついていない、視聴に特化したアプリです。

 2つ目が「ペアレンタルコントロール」。こちらはYouTube本体側の設定で、13歳未満の子ども向けです。子どもの成長度合いに合わせて、保護者が内容を選択できる仕組みになっています。利用するには、親のYouTubeアプリの「マイページ」から子ども用アカウントを追加し、子どもの年齢に適したコンテンツ設定を行います。お子さんが複数いてもそれぞれに適した設定ができます。

 3つ目が「青少年向けの自主的なペアレンタルコントロール」。こちらも YouTube本体の設定で、対象は13〜17歳。13歳未満向けの設定に比べると、子ども自身や家庭での話し合いのうえで、デフォルトの設定から一部を変更できる柔軟さがあります。

 13歳未満の子ども向け機能には、検索機能をオフにしたり、動画やチャンネル単位でのブロック機能などが用意されています。また、通常のYouTubeでは次々におすすめ動画が再生される自動再生機能がありますが、子ども向けアカウントではこれがデフォルトでオフになっています。

 そして、今年の年初に新しく導入された機能が、YouTubeショートのフィードを「0分」に設定できる仕組みです。ショート動画をまったく見せたくない場合はこれをオフに設定すればフィードに出てこなくなります。

 ショート動画には「次は何が出るか分からない」と、ギャンブル感覚で永遠にスクロールしてしまう中毒性があり、世界的にも問題視されています。ショート動画に夢中になっているようでしたら、以下の手順でさっそく設定することをおすすめします。

YouTubeショートは0分に設定することができるようになりました

 また、親が子どもを見守る機能として提供されている「ファミリーリンク」についても説明がありました。子どもの端末がAndroidであれば、保護者側の端末はAndroidでもiOSでも利用可能とのこと。13歳未満のGoogleアカウントでは利用が必須で、13歳以降も保護者の同意があれば18歳まで継続して管理、制限ができるという説明でした。

 ファミリーリンクでは利用時間の上限なども大切ですが、私はアプリの購入やダウンロードの承認の設定がおすすめです。子どもがいつの間にか知らないアプリを使っているという状態を防げます。

子どものスマホを親のスマホで管理できる「ファミリーリンク」

まだまだ難しい子どもの管理設定 伴走する気持ちで

 世の中のIT化が急速に進行し、子どもだけでなく大人も、スマホやネットとの付き合い方を探りながら進めている段階です。テクノロジーを使いこなさなければいけない反面、のめり込み過ぎは問題です。

 GeminiにしてもYouTubeにしても、Googleの説明の端々に出てきたのは「制限すること」自体がゴールではなく、子どもが安全な環境の中でAIやYouTubeを使いこなす力を育てることでした。

 こうした機能が用意されていること自体はとても心強い一方で、実際に運用する保護者の側にも、それなりの手間と理解が求められるというのが率直な感想です。ファミリーリンクにしてもYouTubeの各種設定にしても、一度設定すれば終わり、というものではなく、子どもの成長に合わせて調整し続ける必要があります。

 ただ、重要なのは「子どもと伴走する」ことだと思います。頭ごなしに規制しても、反発され、抜け道を探されてしまうだけです。親子で話し合い、どの機能を何にどれぐらい使うのかを決め、ルールとして紙に記しておきましょう。一緒に決めたことをペアレンタルコントロールやファミリーリンクに設定し、デジタルの力も借りて守りましょう。

 また、今回Googleが紹介してくれたような、「良い使い方」について導いてあげるのも大切です。特にAIに関しては、様々なアイデアを出して一緒に実現方法を考えてみると、大人も学びになりそうです。この夏休み、親子でデジタルを有効活用してみませんか。

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