eスポーツの“スポーツ化”はどこまで進んだか 『シャドバWB』新リーグの“クリーン化”が話題を呼んだ理由
eスポーツは“本物のスポーツ”になれるのかどうか。長年にわたって喧々諤々の議論が巻き起こっているものの、いまだこの問いに対する結論は出ていない。今回はとくに興行性という基準に着目し、eスポーツの現在地を探ってみたい。
第20回アジア競技大会で2回連続のeスポーツ採用へ
最近大きなトピックとして注目を集めているのが、今年9月に開催される「第20回アジア競技大会」の存在だ。
同大会はアジア・オリンピック評議会(OCA)が主催するアジア最大級のスポーツ大会で、4年前の杭州大会において初めてeスポーツが正式なメダル競技として採用された。そして前回大会に引き続き、今回もeスポーツの採用が決定している。
また今回は32年ぶりに日本が開催地となっており、競技種目に選ばれたゲームタイトルは前回の7タイトルから13タイトルにまで大幅に増えた。大会が成功すれば、日本国内でのeスポーツの注目度はさらに高まるだろう。
国内eスポーツの“スポンサー地盤”固めが進む
また今年は国内の大手スポーツ用品メーカーとして知られるミズノが、日本eスポーツ協会(JESU)とのオフィシャルサプライヤー契約を締結。これはJESUが2026年に実施する国内外の競技大会で、日本代表選手が着用するウェアを提供するという内容となっている。
ちなみにミズノは今年4月の『ストリートファイター6』コラボを皮切りに、eスポーツギアに本格参入しており、今後も商品展開を行っていくという。
資金力のあるスポンサーの存在は、eスポーツが興行として成立するためには欠かせないもの。国内ではその地盤固めが着々と進んでいると言っていいだろう。
『Shadowverse』新リーグの厳罰処分が示す、運営側の“クリーンな環境”作りへの姿勢
その一方でいまだに大きな課題とされているのは、いわゆるスポーツマンシップの部分だ。ある競技の興行性が社会で広く認められるためには、プロ選手が社会的に尊敬される立ち位置になる必要がある。
現状、eスポーツにおける“礼儀作法”は十分に確立されているとは言えない。対戦相手への敬意に欠ける言動や世間への影響力を軽視した振る舞いによって、批判を浴びてしまうこともある。
しかしそんななかでも、eスポーツの運営側はクリーンなイメージを定着させるために尽力を続けているように見える。
たとえば最近注目を集めたのは、スマートフォン向けカードゲーム『Shadowverse: Worlds Beyond』の新たな公式リーグ「Shadowverse Premier Series 26-27」での出来事だ。
同リーグはCygamesが主催するもので、賞金1億円をかけて8つのチームが優勝を争うというもの。7月より試合が開幕する予定で、現在は参加選手の選考が行われている。
そこで4月3日には各チームの代表者によるドラフト会議が実施されたのだが、とある選手が他選手に誹謗中傷と受け取られる発言を行ったことや、談合や不正があったかのように示唆したことが大きな批判を浴びた。
これに対して運営事務局は、同選手を無期限出場禁止処分にすることを発表。さらには同ゲームの実況配信や収益化自体を禁止するなど、異例と思われるほどの厳しいペナルティを与えている。
なお、この発表では同リーグが「多くの方からリスペクトされ、プレイヤーの皆さまの憧れとなるような、本作を代表するスターチーム・スター選手を継続的に生み出すこと」を理念としていることも強調されていた。クリーンな環境を作り上げるために、運営が配慮を尽くしていることがよく分かるだろう。
IOC会長交代で“スポーツ化”にブレーキ? 先の読めない状況は続く
そうしたポジティブな動向とは別に、つい先日には国際オリンピック委員会(IOC)の会長が変わったことで、eスポーツの“スポーツ化”にブレーキがかかったという報道も出ていた。先が読めない状況はこの先も続いていくものと思われるので、引き続き注視していきたい。