横浜流星の涙…会いたい人との約束の場所に現れず『わかっていても the shapes of love』6・7話
#7 空っぽとわかっていても
あの電話は、千輝の命が燃え尽きたことを知らせるものだったのだろう。千輝の遺影が飾られた祭壇を前に、空っぽになった漣を見てそう思った。あの電話を受けたあと、漣は美羽との約束の場所には行かず、千輝のもとへと駆けつけたことも想像ついた。漣と千輝が抱えていた事情を知らなかった美羽が、そのことについて触れようとすると漣が過剰に反応していたことからも、千輝の死はただ幼馴染を失った以上の意味があることがわかる。
「永遠なんてない。いつか終わりがくる」そう虚ろな眼差しで漣が話した言葉を、美羽は心に触れた瞬間だと感じていた。漣が語っていたその「終わり」とは、千輝がいつ「その日」を迎えるかわからないという恐れもあったのではないだろうか。死という終わりを意識するあまり、いまを生きるこの瞬間が見えにくくなっていく。いつか手放さなければならないのならば、はじめから求めることをやめようと。
そんな感覚を持っていたのは、漣に近いものを感じた光莉(福地桃子)も同じだった。颯(浅野竣哉)から向けられたストレートな想いも、いつか消えてしまうのではないか。そう思うと心配だという話をするも、颯からは笑顔という思わぬ反応が返ってきた。なぜなら、颯にとっては光莉が怖くなるほどにいま、彼女の気持ちは颯に向いていることは嬉しいことだから。
終わってほしくないと願うのは、それだけ失いたくないということ。そう思えるものと出会えることそのものが、人生の醍醐味。美羽の苦しい過去の恋だって、漣と心を近づけるきっかけになったといってもいい。「人は短い繋がりであっても関わった人すべてに何かを残していく。傷跡みたいに」そう教授の宇佐美(中山忍)の言葉を噛みしめる美羽。そして宇佐美は「生きることと創ることを簡単に切り分けちゃダメ」とも。
また、別の角度から漣と似た者同士であると感じていたのは愛実(夏子)だ。愛実には、漣も自分と同じく中身が空っぽなタイプだと感じ取る。創作の源となっていた千輝を失った今、空っぽになっているのはわかるが、それよりも前からそう感じているとはどういうことなのか。
それは愛実が、自分のなかから創作の種を探そうとするも何も出てこないという感覚を持っていたから。そんなコンプレックスに近いものを抱えていた愛実にとって、漣が千輝に見せるために行動しているのを見透かしていたのだろう。加えて、咲(朝倉あき)を愛しているという「本当の自分」から逃げていたところも愛実が漣と近い部分でもあった。
咲への想いを形にした作品で、自分の殻を破った愛実。その姿を見て美羽も漣と過ごした時間からもらったものを作品にしてみようと決意する。それは漣を振り返らせたいから創るものではなく、美羽自身の今を表現するもの。「もう漣とは会わない」その美羽の強い眼差しに、愛実が言う「中身の詰まった人」を感じた。そんな美羽の変化に、漣はどうするのか。また去っていってしまったと。やっぱり永遠なんてないのだと、美羽のこともそのまま手放してしまうのだろうか。
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