『今日好き プサン編』4話ーー二人の男子の間で揺れる気持ち……現時点では「五分五分」

ひなの、そうまと朝食パンパーティ 「いっぱい食べる女の子どう思う?」

 いよいよ最終日。おそらく“最後のアピールタイム”が待っているだろう、この後。ここからは、そうまが昨晩、意中の相手をねね(古園井寧々)に絞った前提で話を進めたいのだが、ひなの(瀬川陽菜乃)は早朝、朝食パンのパーティにそうまをお招き。「せっかくだから楽しくしようかなって思って、食べながら? どうですか?」と、ひなのチョイスのトレンドのクロッフル(プレスしたクロワッサン)やチュロス味のシナモンパンなど、合計4つのパンとともに、和やかなひとときを過ごそうとする。

 ひなのは今回の旅の序盤、自身が大食いだと明かしており、ここでも「めっちゃ食べちゃうけど、引かんで?」と前置きをしてから、大きな口でパンをぱくり。見ていて気持ちがよいくらい、ぱくぱくと食べ進める。そのペース、パン1つを約3分。少し喋っている間に、すでにひとつ完食してしまった。そのまま2つ目のパンを半分平らげなら「いっぱい食べる女の子どう思う?」と、唇の周りに真っ白なクリームをたっぷりとつけて質問。まるでマンガに出てくる女の子のような光景。実年齢より、どうしてか幼い感じが心をきゅんとさせる。そんなひなのを横目に、そうまも次第に緊張感が抜けてきたようだ。

 さて、ひなのがこの2ショットを考えた理由は、そうまの恋を「応援したい」から。そうまからアドバイスを求められると、「女の子はくねくねするより、ピシッと立っている男がカッコいい」とうれしそうに返答。告白の際には、相手の目を見て、自己主張はハッキリと。「誤字脱字、ダメ!」と、あくまで自身が引っ張る立場でいるべし、とのことだ。たしかに、ねねのようなか弱い女子を前に「くねくね」する男子はますます自信が見えなく思えてきそうである。

 そのまま、この旅で出会い、同じ時間を過ごした上で「“可能性はない”って、優しく言ってくれたじゃん」「そうまくんを好きでいてよかったなって思いました」と、改めて想いを伝えたひなの。感謝をしながらも、食事のペースを緩めないあたりがひなのらしい。基本的に、パンをぱくつくときでなく、そうまと会話をするときしか大きな笑顔は出ないのだが、食べることが大好きなことを大袈裟なリアクションでなく、口に運ぶペースで暗に語るあたり、本当に“大食い”なのだと伝わったのではないだろうか。

 ただ、人によっては、“こっちは告白前で緊張しているのに、なに呑気にパンなんか食べてるんだよ”と思うかも知れない。むしろ、前述の「応援したい」という想いですら、強い言葉を使えばただの“自己満足”で、押し付けがましいと思われる可能性だってある。が、ひなのは違った。

 少しメタ的な視点でいえば、そうまはまず、自身を慕ってくれた女子がいたという事実をここで受け取った。これだけでも自己肯定感は上がるもの。さらに、ひなのが彼女の自分らしさ=大食いな一面を見せることで、そうまも本当の自分を見せ始めた。お互いがお互いの自分らしさを、ほんの少しだけでも認められたこと。この時間には、そんな意味が確かにあった気がする。こうした腹を割った話ができたのも、もう恋愛を意識する者同士ではなくなったから。そして、今回の旅で最も長い時間を共に過ごしてきたから。旅の最終日だからこそ観られた、なんとも意味深い2ショットだった。

 別れ際、「私は食べます。いまからひとりで」と宣言し、そうまをグータッチで送り出したひなの。その流れで、フルーツを刺したフォークを口に運び、ぐわっと豪快に外す姿に、誰もが恋してしまったのではないだろうか? スタジオの“恋愛見届け人”を務める中川大輔が「わ〜、うぅほ〜! 最高!」とのたうち回っていたが、筆者も同様の動きをしてしまったと蛇足ながらに白状しておく。次回はいよいよ、運命の告白だ。

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