東映アニメーション発の人気声優ユニット「サテライト」とは何者か 老舗アニメスタジオがメタバースで仕掛ける“新たなエンタメの形”
VRでイベントを体験 老舗アニメスタジオがVRで実現したいものとは
さて、『Virtual Anime Fes』というイベントは実際にどうだったのか。先述した後藤真希のアンバサダー就任式の取材後、会場にてVR視点でイベントの一部……もとい後半の大部分を体験することができたので、そのレポートを以下にお伝えする。
最初に見学したのは『正解するカド』の朗読劇。朗読劇といっても音声だけ再生されるのではなく、出演キャラクターの3Dモデルが、小劇場の舞台のように登場するという3Dコンテンツだった。本来脳内で想像するほかない朗読劇を、このように発展させるのはおもしろい試みだ。
朗読劇のあとには、出演キャストによるトークパートへ。ここでも、各キャストが担当キャラクターをアバターにして登壇しているのが興味深い。
さらに、トークのあとは真道幸路朗役の声優・三浦祥朗が会場に現れた。こちらは録画データではなく、真道幸路朗のアバターを纏う三浦祥朗本人だ。動きを見るに、おそらくVRヘッドセットをかぶって“現地”にやってきたのだろう。
そして、三浦祥朗は真道幸路朗の姿でMCと会話し、メイン会場の観客(筆者含む)とふれあった。現実のアニメフェスではなかなかお目にかかれない光景だ。
その後、観客はメインステージの前へ移動。3Dキャラクター展示装置『Gatebox』の紹介コーナーを鑑賞した。
「キャラクターとともに暮らせる装置」として2017年ごろから一部で話題になっていたデバイスだが、今回のステージでは『楽園追放』の主人公であるアンジェラ・バルザックのデジタルフィギュアが発売されることが発表された。先鋭的なデバイスとのコラボを仕掛けるあたりにも、東映アニメーションの本気度がうかがえる。
続いて、『楽園追放』スタッフによる新作発表会がスタート。ここで10年越しの新作『楽園追放 心のレゾナンス』の制作が発表された。
筆者自身、同作にはかなりの感銘を受けたファンであるが、物語の舞台のひとつである「仮想世界」にて新作が発表されるという展開には驚かされた。また、発表会では当時のスタッフによる『楽園追放』の制作裏話を語るパートも用意され、内容の濃さは往年のファンにも満足できるものだった。彼らのアバターもフロンティアセッターと「アンジェラを冒頭でナンパした男(のボクセル体)」というニクい選出だった。
そして最後にはサテライトの3人がもう一度登場し、オリジナル曲「サテライト」が披露された。
ライブ中には周囲の光景が“塗り替わり”、電子世界の中を駆けていくような没入感ある演出も仕掛けられた。VRライブでは“鉄板”ともいえる演出だが、これを東映アニメーションもしっかりと意識している点は評価したい。最後のステージまで、様々な挑戦が散りばめられた、2時間に渡るVRイベントがこうして幕を閉じた。
プロジェクトが始動してから、まさに「延々と続く」展開を続けている『ONN'ON STUDIOS』。本イベントはそのコンセプトにふさわしいと言えるほどに豊富なコンテンツと発表が用意され、非常に満足度の高いイベントだった。日本発の老舗アニメーションスタジオが、メタバースにて仕掛ける新たなコンテンツ展開。今後どのような驚きとエンタメを届けてくれるか、ぜひ期待したいところだ。
〈クレジット〉
『ONN’ON STUDIOS』©東映アニメーション
『大空魔竜ガイキング』©東映アニメーション
『銀河鉄道999』©松本零士/零時社・東映アニメーション
『 おジャ魔女どれみ』©東映アニメーション
『デジモンアドベンチャー』©本郷あきよし・東映アニメーション
『正解するカド』©東映アニメーション/木下グループ/東映
『楽園追放』©東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ
『怪獣デコード』©円谷プロ・東映アニメーション
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