『フリースタイル日本統一』#16ーー「審査員殺しです」番組無敗男をいとうせいこうが絶賛

Sirogaras v.s. Rin音、番組初黒星はどちらに? 正念場を迎えた連勝ラッパーの一戦

 前回の【#15】に引き続き、TEAM兵庫(CIMA×P-PONG×Sirogaras×FEIDA-WAN)とTEAM九州(Rin音×Amg×だーひー×Lildav)が対戦中。番組登場時から連戦連勝のSirogaras。そんな彼の前に立ち塞がったのは、同じく1回戦を“3タテ”で終えたRin音。ここまで“負けなし”の状況は互角。初黒星が付いてしまうのは、はたしてどちらになるのか。このバトルでは、Rin音の放ったラインに相手チームのCIMAが頷き、優しく拍手を送るなど、両チームのリスペクトを感じられる場面も。ハイライトは次の通りだ。

Sirogaras:誰に何と言おうとも俺はかます かます為だけにここに来てる

Rin音:当たり前だぜ 俺だって自分しか信じられねぇ と思ってたら仲間がいた/前に進む為に仲間の命も必要だった/それを背負う為 いまはマイク握る

Sirogaras:テメェの仲間を信用してぇなら 自分を一番信用してねぇとダメだな 俺は一番分かってる 背中の預け方を心得てる 頭のドゥーラグ 昨日 勝ったJAKEさんに貰ってる 全部背負ってる 兵庫とか今更 関係なく勝つ

Rin音:俺は音楽を楽しむ それに費やしてる その上で自分を信じて 味方を信じてる 当たり前だろ

Sirogaras:ここが正念場 あん時のスターになった少年だ/生きてる尾崎 豊 15じゃなくて5年経った20歳のラッパー

 先攻はSirogarasで、ビートはGADORO「チャレンジャー feat.J-REXXX」に。会話のテーマとなったのは、自分自身と仲間への“信頼”。ハングリー精神を絶やさぬSirogarasに対して、音楽を楽しむことを第一とするRin音のスタンスは、いわゆる“音源”でもプロップスを築いてきた彼らしさにほかならない。

 両者のよさをハッキリとぶつけられたが、判定はSirogarasが5-0で圧勝。審査員からの講評では、Sirogarasのラップは話の筋立てがとても美しく、〈生きてる尾崎豊 15じゃなくて5年経った20歳のラッパー〉などのラインに対してはとりわけ賞賛が。フリースタイルで生まれたものながら、このままパンチインのような扱いで、楽曲にそのまま落とし込んでも申し分ないクオリティに思える。筆者としては、2バース目の“背中の預け方”から、1回戦での敗者の想いまですべてを“背負ってる”まで、“背”というひとつの単語から、複数の表現に広がりを見せていた点に、各ラインの意味の掛かり方も含めて天晴れだと感じてしまった。

 その後、TEAM九州からは大将・だーひーが登場するも、Rin音戦と同じくSirogarasが5-0で勝利を掴む。こちらは、Rin音とのピースフルなバトルから一転して、お互いが提示する話題と信念が一切交わらない。むしろ、ディスの応酬。だが、結果は前述の通り。Sirogarasは、審査員を務めるいとうせいこうから「審査員殺しですね、アイツは」とまでお手上げコメントを贈られるなど、またしても一人で全員を“やっちゃった”。チーム最年少ながら先輩全員を温存し、手土産にだーひーを吸収した上で、準決勝へと駒を進めた。

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