『フリースタイル日本統一』#11ーーMC☆ニガリの影響力がひしひしと伝わる場面が目白押し
十万石の戦いがスタート! DOTAMA「誰が誰だかわからない」
今回のオンエアから、2回戦(十万石の戦い)がスタート。【#11】では、TEAM東北(Sitissy luvit×DARK×USTR×脱走)とTEAM北関東(DOTAMA×NAIKA MC×Yella goat×MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻)が激突した。
試合前には、相手のラッパーは全員が強そうだと謙虚に振る舞うTEAM東北に対して、DOTAMAが新人の多い顔ぶれを見て「誰が誰だかわからない」と、早々に痛烈なディスを放つTEAM北関東。DOTAMAはかつて『フリースタイルダンジョン』でモンスターを務めていた際も、モンスターチームの参謀役として頭脳を働かせていたが、このあたりも相手の冷静さを奪っておく作戦のうちなのか。はたまた、単に人が悪いだけなのか……。
さて、バトルのルールは前回までと変わらず、8小節3ターンの1ラウンド制に。勝利チームは敗退チームから好きなラッパー1名を吸収することができ、各チームとも1回戦(壱万石の戦い)にて自軍に取り込んだラッパーを使うこともできる。
【#11】では合計4試合が行なわれ、結果は順に、USTR v.s. MC☆ニガリ(1-4)、脱走 v.s. MC☆ニガリ(2-3)、Sitissy luvit v.s. MC☆ニガリ(3-2)。MC☆ニガリは“3タテ”ならずに敗退となったが、TEAM甲信越から吸収されて早々、見事な働きぶりとラップを発揮してくれた。
Sitissy luvitがサンプリング MC☆ニガリが残した数々のパンチライン
そんなMC☆ニガリは、10年以上にわたるキャリアと、なにより“物語性”を持っているラッパー。今回のオンエア最後のSitissy luvit v.s. NAIKA MCでは、バトラーとしてその場にこそいないはずなのに、彼の影響力がひしひしと伝わる場面が目白押しだった。実際にいくつかのラインの引用を見れば、ピンとくる読者もいるのではないだろうか。
Sitissy luvit:確かに田舎者の集まり 俺たちチーム東北 自分の街を上げる事に精を出してきた だけどなニガリくんには勝って思った 恐れを知らないガキが一番怖ぇよ
NAIKA MC:恐れを知らないガキが怖いって ニガリ 1人で十分だけど/怖い大人ってのがどれほど怖いか 目の前で見せてやるから かかって来いやもう一回
バトルビートは、SOUL SCREAM「蜂と蝶」。本番組のDJこと、MR.BEATS aka DJ CELORYも所属するユニットの代表曲であり、かつてMC☆ニガリとNAIKA MCが『UMB2016 GRAND CHAMPIONSHIP』準決勝でぶつかった際のビートでもある。
そして、Sitissy luvitから出た〈田舎者の集まり〉は、偶然かもしれないが、MC☆ニガリが今度は『UMB2014』東京予選にてNAIKA MCと対決した際に繰り出した〈一番の田舎モン 今日は引っ掻き回してやる糞大東京〉のラインも想起させたし、なによりその後の〈恐れを知らないガキが一番怖えよ〉もまた、同試合にて生まれた、MC☆ニガリのキャリアを代表するくらいに有名なパンチラインのサンプリングである。
ちなみに2014年のバトルでも、DJを務めていたのはDJ CELORYだったほか、若手かつ相手に食ってかかる勢いのSitissy luvitが、NAIKA MCの会話を重視するスタイルに対して『UMB2016』で〈それでまた1バース終わったのか 早くラップを始めてくれよ〉と、ど頭から強烈なディスを突きつけたかつてのMC☆ニガリのラップに重なる印象だったことを、ここでは付け加えておきたい。ただこの後、“ザ・MCバトル”と言わんばかりに、NAIKA MCが上手いことを言うスタイルで丁寧にアンサーを返し、結果は満場一致で勝利を獲得。TEAM東北で残すは、DARKのみとなった。