『Refind Self: 性格診断ゲーム』の魅力とは? 結果が気になる“性格診断”も人気の要因に

 「ゲームには性格が出る」「ゲームは普段見せない部分が出る」というのはどちらも違和感なく受け取れる。確かに、普段から細かい部分に気が回る人はゲームでも探索が丁寧だったり、かと思えば同じ人が対人ゲームでは人が変わったように荒々しいプレイをすることだってある。ともかく、ゲームの遊び方や、向き合い方は十人十色ということは間違いないだろう。

 『Refind Self: 性格診断ゲーム』(Steam/App Store/Google Play)は、そんなゲームと性格に関する作品だ。性格診断というと、複数の選択肢から回答を選び、それを基に結果をだすものがほとんどだが、本作はこうした性格診断とは異なり、アドベンチャーパートでのプレイヤーの行動や選択から診断を行なえる「性格診断を遊ぶ」ゲームとなっている。

 本作は「7days to End with You」のクリエイターが制作したということで以前から一部で注目されていたタイトルで、現在診断件数が10万人を突破、多くの配信者にプレイされているなど、人気を博している作品だ。

 本稿では、そんな本作の人気の要因について考察していく。なお、本作は性格診断をテーマにしたゲームであるため、最初はネタバレなしでプレイして欲しい。すでに気になっているという読者は、一度プレイしてから本稿を読んでみるといいだろう。

分かりやすい「正しさ」にすがらないことの大切さ。「正解」がないからこそ、想像の余地がある『7 Days to End with You』

高校の文芸部も含めればかれこれ15年以上文章を書いている筆者だが、小心者ゆえに、いまでも自分の文章がどう読まれているかを気にしが…

プレイヤーの行動や選択のほとんどが診断の対象に

 冒頭で述べたとおり、本作ではアドベンチャーゲームをプレイすることで性格を診断していくこととなる。アドベンチャーゲームの主人公はロボットの女の子。本作にはゲームオーバーはなく、進め方には正解がないため、自由に彼女を操作して性格診断を進めることが可能だ。

物語は誰かの墓の前から始まり、どこか悲しげな雰囲気が漂っているのが印象的だ

 診断の対象となるのはゲームを通してプレイヤーによる、ありとあらゆる行動や選択だ。たとえば、採掘場でスクラップを掘ったり、NPCとの会話などのイベントでの選択肢であったり、フィールドに点在するミニゲームでの行動であったりといったものが診断の対象となる。中には道中に咲いている花を拾うかどうかなどの細かい部分や、誰かを殺すか否かといったハードな選択肢も存在し、詳細は伏せるが意外な行動でも診断が進んでいく。

羊の色を塗るミニゲーム。ミニゲームはさまざまな場所に存在する
会話やイベントの選択肢によっても診断結果が変わってくる

 診断の対象となる行動をとると画面上部のハートが溜まっていき、これが100%になると自動的にゲームが終了し性格診断が行なわれるが、1週目では「貴方を最も象徴する性格」が診断されるだけで、「補足する性格」と「秘められた性格」を明らかにするためには合計3週のプレイが必要となる。

 周回を重ねることで、行動や選択肢の意味を考えるようになり、前回のプレイでは取らなかった非道な行動をあえて取ったり、ストーリーを明らかにするためにハートが溜まらないように探索を進めたり、ギャンブルのための資金を集めるためにあらゆる場所を漁ったりといった風に、より自分が「どうゲームと向き合っているか」が見えてくる仕組みとなっているのは面白い。ちなみに筆者はどこか悲しげで、物語の真相が気になる世界観に引き込まれ、ついついストーリーの全貌が明らかになりそうな行動を探すことを重視してプレイしていた。

ゲームが途中に思えても、診断を終えればゲームは終了する
筆者の1週目の診断結果は「侍」だった

 なお、診断された性格は、プラットフォームを跨いで集計されており、他のプレイヤーの選択肢を見て、自分との差異を楽しむことができる。また、診断の結果はIDが発行され、他のプレイヤーとの共有が可能となっている。

 また、1週のプレイ時間は長くても1時間ほどで、2週目、3週目と繰り返すことで徐々に短くなるので、気軽に周回プレイすることが可能だ。

他のプレイヤーの選択を見ることで、自分が少数派と気付かされることも

性格診断が、ゲームをより自由にし、視聴だけでなくプレイしたくなるゲームに

 本作はどこか悲しげで、世界観の設定やストーリーが気になるゲームでありながら、性格診断を主目的に据えることで、物語に縛られない自由なゲームプレイが可能となっている。

 それでいて、ゲーム内でのありとあらゆる行動が診断の対象となるため、ゲーム内での行動や選択にはプレイヤーごとに意味づけがしっかりと存在するため、シンプルで短いアドベンチャーゲームでありながら、性格診断という要素が中心になることによって、より没入できる作品になっていると感じた。こうした本作独自のゲーム性が多くの人を引き付けたのではないだろうか。

 また、性格診断は「自分もやってみたいし、ほかの人の結果も見てみたい」と思わせるテーマであることも人気の要因だろう。自分の性格がどう診断されるかが気になるのはもちろん、自身の好きなストリーマーの性格が「解釈一致」となるか、異なる一面が見えるのかといったことも気になってしまう。

 配信では、ストリーマーの性格の傾向がなんとなく見えるプレイを通じて、性格診断を一緒に楽しむことができるのもポイントだ。また、自分の結果と配信者の結果を比べてみたくなり、配信を視聴するだけに留まらず、自分でもプレイしたという人も少なくないだろう。

 このように本作は、「物語をプレイする」という従来のアドベンチャーゲームの魅力を保ちながら、性格診断というテーマを主軸にすることで、多くの人を引き付けた結果、人気を博しているのではないだろうか。

 最後に、ネタバレになるので詳細は伏せるが、本作はラストまでプレイすることで体験できる要素が存在する。気になる読者はぜひ本作を手に取り、「一度きり」の体験をしてほしい。

同接10万人超『Lethal Company』 人気の理由はコミュニケーションを生む仕組みにあり?

Steamでリリースされた「Lethal Company」は、11月中旬に同時接続者数10万人を超える人気ゲームとなり、多くの配…

関連記事