浅倉大介、ヤマハの新たなフラッグシップシンセ「MONTAGE M」シリーズの魅力を力説 「究極のデジタルシンセ+アナログシンセの気持ちよさ」

 10月10日、YAMAHAの新商品発表会が行われた。

 今回発表されたのは、2016年5月に発売されたミュージックシンセサイザーのフラッグシップモデル「MONTAGE」の後継シリーズとなる「MONTAGE M」シリーズ。『MONTAGE M6』『MONTAGE M7』『MONTAGE M8x』の3製品が10月20日に発売される。

 旧シリーズ「MONTAGE」を強化したシンセサイザーとなっている「MONTAGE M」シリーズは、音源システム「Motion Control Synthesis Engine」の核となるハイブリッド音源に、新たに開発された最大16音ポリフォニックのバーチャルアナログ音源「AN-X」を搭載。3オシレーター、1ノイズジェネレーターによる「AN-X」は、アナログシンセサイザーの微細な振る舞いまで表現することを可能にするという。8オペレーター、最大128音ポリフォニックのFM音源「FM-X」、最大256音ポリフォニック音源「AWM2」と合わせ、3つのサウンドエンジンで合計最大400音の同時発音が実現されている。

 ユーザーインターフェースの中心には、旧シリーズ同様タッチパネルが配置されているほか、新たにセカンドディスプレイが配置。オシレーターやフィルター、エンベロープなどに瞬時にアクセスできるようになっている。

 また、ポルタメントコントロール、キーボードホールドボタンなどのコントローラー群も強化されており、コントロール性能とアクセス性の向上がはかられている。鍵盤タイプ、鍵盤数によって3品番がラインアップされている「MONTAGE M」シリーズ。61鍵モデル『MONTAGE M6』と76鍵盤モデルの『MONTAGE M7』には高品位な鍵盤であるFS鍵盤が搭載されているほか、『MONTAGE M8x』には、キーごとに独立した音色変化を与えるポリフォニックアフタータッチ対応鍵盤のGEX鍵盤が搭載。こちらはCX-80やDX‐1 といった名機にも備わっていた鍵盤で、88鍵モデルではヤマハ初搭載となる。タッチの微妙なニュアンスも弾き分けられるほか、低音では重く、高音では軽いタッチを再現したグレードハンマーアクションも採用されているため、グランドピアノのような演奏が再現されているという。

 「MONTAGE M」シリーズの解説がなされたあとは、音楽プロデューサーの浅倉大介が登壇。実際に「MONTAGE M」シリーズに触れながら、その魅力を力説した。浅倉は「 MONTAGE M」シリーズに触れながら、「まず一番びっくりしたのは、見た目でなにがアップデートされたのかが分かること。『MONTAGE』は究極のデジタルシンセだったんですけど、『MONTAGE M』では横に画面がついてつまみもついて、往年の『つまみをたくさん回しましょう』というアナログシンセの特徴が『MONTAGE』にドッキングされているのに驚きました。アナログシンセの気持ちよさって、つまみを回していくと音が気持ちよくなっていくことじゃないですか。『MONTAGE M』でもそれが楽しめるのは魅力ですよね」と話す。

 お気に入りの機能として、「VCO ドリフト」と「エイジング」を挙げた浅倉。前者について「往年のシンセは電圧の影響で音が安定しなかったんですけど、『MONTAGE M』はそれをパラメーターとして持っている。数値を上げていくと電圧が不安定だったときの古き良き音になるんですよね」と話し、後者について「アナログシンセは使っていくにつれてコンデンサなどが劣化して、それによって音が変わっていくのですが、それをパラメーターで持 っている『MONTAGE M』では、往年の名機のゆらぎや温かみを再現できます」と解説。最新の機材でありながら、古き良きアナログシンセサイザーの魅力も持ち合わせている点について力説した。

 さらに、『MONTAGE M8x』に搭載された、1音ごとに強弱やビブラートを変化させることができるポリフォニックアフタータッチについては、「今までも圧をかけるとビブラートをかけたりすることはできましたが、全部の音にかかるのが一般的だったんですよね。でも『MONTAGE M8x』になると、鍵盤ひとつひとつにセンサーがついているので、一音だけ明るい音色にするといったことができるんです」と実際に弾きながら説明。「いろんなつまみを回しているうちに指が足りなくなることがよくあるので、キーボードを押し続けなくて良いのは便利」と評したキーホールドボタンにも触れるなど、操作性の向上についても評価した。

 発表会の終盤には、浅倉による「MONTAGE M」を使ったパフォーマンスも。優れた操作性と自由度の高い音色を自在に使った演奏で会場を圧倒した。


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