激安ガジェットは本当に"地雷"なのか? 異端のガジェット系YouTuber・さいちょうの活動に学ぶ「メリットとデメリット」

 かわいらしいイラストに、白い背景で撮られた商品の写真と赤文字の一言コメント。「さいちょう」と名乗るそのYouTuberは、「企業案件は受けない」「紹介する商品は全て自腹購入」をモットーに掲げて活動している。

 さいちょうが動画投稿を始めたのは2022年の5月。合成音声ソフト『VOICEVOX』『VOICEROID』を解説役として使った激安ガジェットのレビュー動画を中心としつつ、ときには見た目が奇抜なガジェットのレビュー動画も投稿している。同年8月に投稿した、”ある意味有名”な通販サイト「夢グループ」で販売されているビデオカメラのレビュー動画が脅威の174万回再生を記録。紹介している商品は、誰も買おうと思わないような“怪しい”ガジェットから身近な店で売られている激安ガジェットまで多岐にわたる。紹介にあたって徹底的な検証と分析が行われ、場合によっては行政や企業に確認をとって動画を作成している。合成音声の調声も違和感がなく、編集もシンプルで見やすいため、純粋なガジェットレビューチャンネルとしても高いクオリティを誇っている。

【丸裸】「夢グループ」の闇を暴く!謎の激安ビデオカメラを分解&徹底検証|ずんだもんと学ぶ「激安商品」の実態⑮

 激安ガジェットは危険性が高いとよく言われているが、実際どういった点で危険性が高いのだろうか? さいちょうが語る激安ガジェットの実態を、4本の動画を通して紐解いていく。

【3000円の完成形】激安スマートバンド「Mi Smart Band 5」が"十分すぎる"性能だった|ずんだもんと学ぶ「激安商品」の実態㉞

 まず、激安ガジェットのなかにも、非常に良質な製品はある、ということを記しておきたい。上の動画は中国メーカーのXiaomiが手がけるスマートウォッチ『Xiaomi Mi Smart Band 5』をレビューした動画だが、一目見ただけでも同氏が紹介しているほかの激安ガジェットとは一線を画したクオリティの高さであることがうかがえる。画面のカスタマイズ性も高く、性能もそれなりに高い。同じスマートウォッチでトップを走っている『Apple Watch』との比較も行われているため、『Xiaomi Mi Smart Band 5』の価格と値段以上の性能を優先するか、それとも『Apple Watch』特有のビジュアルと非常に高い性能を優先するかで迷っている人にとっても非常に参考になる動画である。

【★1.0】「Amazon最低評価」のワイヤレスイヤホン買ってみたら…いろいろヤバすぎた…

 激安ガジェットの中には、当然“使えない”ものも数多く存在する。この動画で紹介されているワイヤレスイヤホンは、Amazon上で低評価レビューが多くついているものだ。箱の外側には“怪しい”シールが貼られ、いざ箱を開けると“怪しい”日本語で書かれたカードが出てくる徹底ぶり。いざ使おうとしてみると片方のイヤホンのみ充電ができず、かろうじて使えたもう片方のイヤホンも音質が最悪だという異常事態が発生する。激安ガジェットを買うことのリスクを改めて実感できる動画だ。

【『Temu』って危険なの!?】話題の"激安通販"の「正体」と「注意点」を徹底解説!実際に買い物もしてみたところ…|ずんだもんと学ぶ「激安商品」の実態 No.55

 こちらの動画は、最近インターネット上の広告などでもよく見かける激安通販サイト『Temu』の紹介動画だ。内容はサイトの使い方や売られている商品の特徴がメインで、ワイヤレスイヤホンやヘッドホン、スマートウォッチを含むガジェットが紹介されている。

 しかし、これらのガジェットには『技適マーク』と呼ばれるものがついていなかった。『技適マーク』とは、電波法で定められている基準に適合している無線機であることを証明するマークである。このマークがないワイヤレスイヤホンなどを使用すると電波法違反に抵触し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になる恐れがある。ワイヤレスイヤホンなどの無線機器を買う際は必ず気にしたい項目である。

参照:総務省 電波利用ホームページ | 電波監視 | 技適マークのQ&A

【注意!】Amazonの激安モバイルバッテリーの闇…「偽装」の実態を調査|ずんだもんと学ぶ「激安商品」の実態㉓

  Amazonに溢れかえっている「2023最新版」「革新超パワー」などと謳われたやたら大容量のモバイルバッテリーの数々。良質なモバイルバッテリーを買いたい気持ちはあるものの、いかんせん高い。激安で済むならそうしたい――そう考えた人は少なくないだろう。

 これは筆者の実体験だが、母が「30000mAhの容量を誇る」と謳っている激安モバイルバッテリーを買ってきたことがある。値段を調べたらなんと2000円程度で販売されており、どう考えても容量偽装だと直感的に思った。そのモバイルバッテリーもさいちょうの動画で紹介されているもののように分厚くて重く、多少不便ではあるが充電はできるしまあいいか、と思っていた時期が筆者にもあった。

 実際、動画で紹介されていたモバイルバッテリーは容量偽装が行われていた。動画内で容量偽装に関する話が出た際に、「容量偽装をするような製品は安全性にも問題がある可能性が高いし、出火の可能性も高くなる」とさいちょうも自身の意見を述べていた。この動画を見て、筆者もこれからは信頼できるメーカーのモバイルバッテリーを買おうと決意したのだった。

 さいちょうの動画を見ると、激安ガジェットは安さの代わりに何を犠牲にしているのかをわかりやすく知ることができる。ガジェットは基本的にワンシーズンで変えてしまうようなものではなく、人によっては何年も使い続けていくものだ。なるべく品質が高いもの、そのなかでもできれば安いものを買うために、このような動画を通して知識を蓄えていきたい。

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