「50年間手つかずの人工池」の生態系に迫る マーシーの獲ったり狩ったりに学ぶ“自然の摂理”
2023年7月28日、生物系YouTuberの「マーシーの獲ったり狩ったり」が、「50年間手つかずの人工池で釣りしたらとんでもない生態系してた」という動画を投稿。この動画が345万回再生と大きな反響を呼んでいる。(2023年8月4日時点)
この人口池は、50年前から滋賀県・琵琶湖の水をポンプでくみ上げて、農業用水として一時的に貯水している場所である。フェンスで囲われ普段は鍵がかかっているが、今回特別に許可をもらって釣りに挑んだ。詳細についてはネタバレになるのでここでは省略するが、50年間ものあいだ閉鎖空間となっている池の様子を見ることができるだけではなく、外来種による生態系への影響を勉強できるので、ぜひ本動画を視聴してみてほしい。
さて、このチャンネル「マーシーの獲ったり狩ったり」を運営する男性・マーシー氏は、一体何者なのだろうか。自身を川に入って足などで水中生物を捕まえる「ガサガ生物採集系YouTuber」と名乗り、さまざまな場所を訪れて、多様な生物を採取している。
当チャンネルは、エンタメ性だけでなく、教育的にも価値が高い側面がある。たとえば、2022年12月に公開し、116万回再生されている「農業用の池の水ぜんぶ抜くと異常な数の外来種が獲れてヤバすぎた!!【池干し、かいぼり】」では、池干しの最中に発見した外来種の様子を動画に収めている。
この動画を見ると、外来種が現在の生物系にどのような影響を及ぼしているのか、釣り人がどのようなマナーで釣りをするべきなのかなど、私たちにとって考えさせられるような内容が多い。たとえば、池干しは生物採集のためではなく、池のメンテナンスのために行うことや、瀬戸内海の栄養分が低下しているため、あえて下水の規制を緩めて海へ流していることなど、池干しを行う理由や、自然の背景なども解説してくれる。これはひとえに、マーシー氏が環境保全のためを思って行動している結果であり、情報発信の場としてYouTubeを有効活用している例だと言える。実際に、コメント欄でも「勉強になる」「実際の環境の様子を知れてよい」といった、教育的コンテンツに対して好意的な意見が目立つ。
また、動画には外来種であるミシシッピアカミミガメが登場するのだが、釣り糸が腕に絡まって怪我をしてしまっている。外来種はたしかに在来種を脅かす存在ではあるが、「駆除はするんですが、何も苦しめていいわけではない」とコメント。生物に対する人間の影響についても発信した。
冒頭の動画を含めて、当チャンネルには数百万回再生の反響がある動画もいくつかあり、外来種やその他水中生物に関心を寄せている方が多いことがうかがえる。マーシー氏の動画を通して、今一度自然と生き物について理解を深めてみるのもいいのではないだろうか。
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