ウメハラこと梅原大吾が語る「ウメ散歩」挑戦の裏側 「昔みたいにバカなことができるのか」

「“面白いヤツラ”が戦っているのが好きだし、効率の外側にあることをやりたい」

梅原大吾

――梅原さんが目標として語っている「1万人大会」が実現するとしたら、『スト6』というタイトルになるのではないかと思ってしまいます。中長期的に考えて、実現したいことはありますか?

梅原:まず、『スト5』のときにやっていた初心者大会(Beast Cup)は『スト6』でもやりたいと思います。Beast Cupに磨きをかけて、プレイヤーのキャラクターを引き出す企画をやりたいと考えています。たとえば、格闘ゲームの腕が低ランクというだけで素通りしてしまうのはもったいない。人間的には面白い人はいっぱいいると思うんです。そういう人たちを発掘できたら、より業界にも幅が出るんじゃないかなとワクワクしているので、それはやってみたいですね。

――それは、元々配信している人気者が『ストリートファイター』に挑戦するという意味ではなく、新たに面白い人を発掘すると言うことですね。

梅原:そうです。配信をしているわけでもなく、別の職に就いている味のある人が格闘ゲームをきっかけに目立つというような感じです。別にうまい人同士の対戦である必要は全くないと思うんです。相性が悪くてやいやいやり合っている二人を対戦させるのは、たとえプレイのレベルが高くなくても絶対に面白い。「犬猿の仲の二人がゲームで決着つける」というストーリー性がある。

――あらゆる諍いについて「格ゲーで決着つけようぜ」となれば、平和で楽しいですね(笑)。

梅原:そう、暴力はダメだから、じゃあ格ゲーでっていう(笑)。

――その意味では、必ずしもプレイのレベルが低いとは言えませんが、こくじん(こく兄)さんが主催しているおじさん格ゲーマーの大会「おじリーグ」は理想的なコンテンツかもしれませんね。

梅原:そうだと思います。下手にトッププレーヤーが集まる大会よりも「おじリーグ」の方が盛り上がるということが、結局、みんなが何を求めているのかの答えだと思うんですよね。すごくいい企画だと思います。

――それこそ散歩企画のように、各選手の人間性やストーリーが見えるというか。

梅原:そうですね。話が戻りますが、この間の散歩配信のあと、参加した仲間の配信の視聴数が伸びてるらしいんですよ。僕は、それがすごく嬉しかったんです。企画する側だからこそ、配信した僕だけじゃなくてみんなにプラスになるといいなと思っていたんです。今回参加した人はみんな認知度が上がっていたので、すごくよかったなと。

――「おじリーグ」もそうですが、極限の状況で人間性が出る企画だからこそ、それぞれの人にファンが増えたんでしょうね。「獣道」なども含め、梅原さんはそういった人間性が出る企画をすることが多い印象です。

梅原:AIの発展とは裏腹に、「人間にしかできないこと」や「人間でしか味わえないこと」が昔から好きなんですよ。いかに効率をよくするかということにはあまり興味がなくて、人間ならではの未熟さが好きなんです。だからレベルが高くなくても“面白いヤツラ”が戦っているのが元々好きだし、効率の外側にあることをやりたいんですよ。

梅原大吾

――めちゃくちゃ強いCPU同士の戦いが果たして面白いのかどうか。

梅原:それは絶対面白くないので、人間らしいことをしたい。そう考えていなければ、青森なんて新幹線で行けよという話ですよね。そういう無駄なことが好きなんです。

――車で行くことすらちょっと無駄な感じがしますもんね(笑)。

梅原:時間のことを考えたら、絶対に新幹線の方がいい(笑)。浮いた時間で働いた方がよっぽど効率がいいですよね。

――ここまで伺ってきた話がすべてつながった気がします。散歩配信が「アナログで面白い」と言いましたが、デジタルやマーケティングで判断できない、計算不能な面白さが、梅原さんの企画にはありますね。

梅原:僕は巷で受けていることは、データで明確に示されても全くやりたくない。自分が面白いと思うことをやりたい。そこに「ウケるセオリー」が含まれていないことで視聴者が減っても、それはそれでいいと思っています。

――梅原さんの配信にいつも「本音」な印象があるのは、そういったことを排除してきた結果というのもあるのかもしれないですね。

梅原:僕は僕の面白いと思うことをやる、今の流行りはやっていませんけど、それでいいなら見てください、というスタンスですね。

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