ハンドヘルドゲーム機の決定版に? Windows搭載でスペックもデザインも魅せる『ROG Ally』がついに日本上陸
Windowsにも、小型ゲーム機にもなる
このように『ROG Ally』は携帯ゲーム機として申し分ない性能を持っている。さらに個性が光る部分も見ていこう。
ディスプレイの上部左右には、白いボタンが左右2つずつ配置されている。右上からメニューボタン、その下がArmoury Crateボタン、左上が表示ボタン、その下がコマンドセンターボタン。Armoury Crateボタンを押すとGame Libraryが起動し、インストールされているゲームを選べる仕組みだ。Steamにもここからアクセスできる。
コマンドセンターボタンを押すと、画面輝度やリフレッシュレート制限、冷却ファンの効率、ゲームプロファイルの設定などを素早く切り替えることができる。画面タッチが可能なおかげで、とてもスピーディーな設定変更が可能だ。ここに表示する項目自体もカスタムできる。
また、『ROG Ally』はOSにWindowsを採用しているため、ゲームやSteamを起動させていない時はノートPCのように使うこともできる。ブラウザやYouTubeも閲覧できるし、Bluetoothでマウスやキーボードを繋げば更に快適な操作が可能だ。さらにモバイルディスプレイも用意すれば、もはや仕事用のノートPCとしての運用も可能だろう。なんともロマンがある環境だ。その辺りの使用感は、追って詳細レビューをお届けしたい。
ROGのスペシャリストに聞いた、こだわりポイント
ここ数年でハンドヘルドゲーム機は盛り上がってきたが、『ROG Ally』の開発は簡単ではなかったそうな。発表会では完成にいたるまでの試作機がずらりと展示されており、構想から約5年を経てここまでたどり着いたという。
本体の分解図も展示されていた。注目してほしいのはデュアルファンを搭載している点だ。本体のグリップ部分にファンを配置することで持ち手に熱が伝わりにくいよう設計されている。「ROG Flow Z13」で培った小型冷却技術を継承しており、「ROG」ご自慢のインテリジェント冷却システムが搭載されている。
このように、ASUSの技術を余すところなく結集させたのが、コンパクトさとスペックを両立させた『ROG Ally』というわけだ。きっと我々では計り知れないほどの苦労と情熱があったことだろう。
そうした開発現場の熱意を知るべく、ASUSジャパン・システムビジネスグループマーケティング部にて「ROGスペシャリスト」を担う瀬口佳吾氏に、『ROG Ally』にまつわるエピソードを伺った。
「実はデザインにはかなりこだわりがありまして、本体を握ったときに手が当たるパームレストの部分。ここの角度は14度になっているのですが、この数字を見つけ出すのに相当苦労したと聞いております。老若男女、かつ世界中のユーザーの手にフィットする必要があるため、最適な形状を探しました」(瀬口氏)
「質感(テクスチャー)も、パームレストの上面と背面で変えております。背面はとても細かいトライアングル型になっており、滑りにくい質感にしています」(瀬口氏)
「また背面にはトリガーボタンがあるのですが、本体を強く握りしめた際にボタンを押し込んでしまわない絶妙な場所に配置してあります。ゲームに集中した際に誤って押し込まないためのデザインです」(瀬口氏)
こうした細かい部分まで手を入れることができるのは、ひとえにASUS本社が持つデザインチームのおかげでもあるだろう。気になったので編集部では広報を通じ、台湾本社『ROG Ally』のデザインを担当した、WongDing Chuen(黃鼎權)(ウォンディン チュエン)氏にメールインタビューを敢行した。
WongDing氏「私たちは何百もの数えきれない試作品を製作し、その過程では老若男女やプレイするゲーム、そしてそのレベルを問わずに、ゲームを好きなすべてのゲーマーを対象としたフォーカスグループインタビューを何度も行ったのです。そして長い歳月をかけて、ポータブルゲーム機に求められるものが何なのかを追求しました。多くのゲーマーに愛されるポータブルゲーム機をつくるためには、軽さ・性能・バッテリー容量のベストバランスを見つける必要があったのです。そこで私たちは”600g”という軽さを目標にし、強度を犠牲にしない軽い素材を使い、部品をできる限り薄くすることで、その達成に全力を尽くしました。また、手に持っても、テーブルの上に置いても、違和感のないデザインになるように何度も何度も試作品を作りました」。その技術やデザインの結晶が、ついに日本のユーザーたちも手にとれる日が来たのだ。