加藤純一の人狼ゲーム生配信が急上昇入り 扱いにくい題材をヒューマンドラマに仕立て上げたプロデュース力

 5月3週目、加藤純一が実施した人狼ゲームの生配信動画が急上昇にランクイン。加藤が企画から人選まで手がけた人狼ゲームはなぜ注目を集めたのか。今回は、加藤の人狼ゲーム生配信の魅力とプロデュース力に迫ってみたい。

 加藤は2009年7月にニコニコ動画でゲーム配信を開始。実況者のなかでも活動歴が長い加藤は、生配信ではスーパーチャット(投げ銭)を解放しないなど、独自路線で走り続けている人気実況者で、チャンネル登録者は118万人を突破している(5月20日時点)。

 今回急上昇入りしたのは、「無職人狼 NeetWolf」と題したコンテンツ。村人陣営と人狼陣営のなかから無職・フリーターの3名を当てる、視聴者参加型人狼ゲームを生配信した際のアーカイブ動画だ。村人陣営は私生活で職を持っている者たちで、人狼陣営は職歴なし無職、職歴あり無職、フリーターという構成。人狼が誰かを知っている加藤が司会進行を担当し、視聴者からの質問や投票結果を捌いていく。

 生粋の無職である人狼については、事前に架空の職業や年収を固めており、仕込みは完璧な状態だ。参加者は視聴者から寄せられた休日の過ごし方、無職への一言などの質問に回答。参加者間では、実家暮らしかどうか、仕事内容と経歴、子どもの年齢などから、お互いを見定めるための質問が飛び交っている。最後に残った人狼が「俺がニートだよ!」「(仕事に関するエピソードは)全部うそです」と告白すると、村人陣営からは歓喜のガッツポーズが出るなど、大いに盛り上がったのだった。

 見ものだったのは、人狼が判明した後のシーン。人狼のリアリティ溢れる仕事内容やエピソードについて加藤が人狼に質問すると、親の職業とエピソードをもとに、今回のキャラクターを作っていたことを明かしている。加藤も配信中に「客観的に見てわからない」と数回話しているのだが、それほど完成度が高く、参加者たちの奮闘が今回の配信の高評価に結びついたことが読み取れる。

 人狼ゲームについてはこれまでも、フィッシャーズやきょんくまをはじめ、人気動画クリエイターたちがコンテンツにしてきた。しかし、これまでのコンテンツは生配信ではなく、編集されたもの。生配信で人狼ゲームを行い、さらに参加者が一般人というのは、かなり斬新なアイデアだ。とくに登録者数118万人という大きなチャンネルで一般人が顔出しで出演することはかなり勇気がいることであり、その点については加藤も「俺がやらせたので、何かあったら全部僕のせいにしてください」と発言。視聴者もその点をよく理解しており、コメントには勇気ある参加に称賛が寄せられている。

 加藤の言葉を借りると、今回の人狼ゲームは「人狼を用いたヒューマンドラマ」。人間模様を楽しむコンテンツとしての側面が大きいわけだが、そこに演者として一般人を起用したこと点に、加藤のずば抜けたプロデュース力が垣間見れる。無職が誰かを探り合う参加者たちの発言は、作られていない、その時どきの言葉。生配信で自分が人狼ではないことを証明しようとする姿勢や、ほかの誰かを人狼に仕立て上げるための演技には、ハラハラドキドキさせられた視聴者も多いのではないだろうか。

 さらに特筆すべきは、無職である人物を当てるという、ほかのYouTuberたちが扱いそうにない、ナイーブなテーマを選択した点だ。一見賛否を呼びそうなテーマだが、扱いにくい内容もしっかり言語化し、真っ直ぐに伝えられる加藤であれば、うまく料理できるという安心感がそこにある。一般人を起用し、生配信で視聴者も一緒に楽しめる今回の人狼コンテンツは、加藤の独自路線とカラーがうまくハマった成功例といえるだろう。

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