4月18日、「モンスターハンター」シリーズからモバイルゲーム『Monster Hunter Now』（以下、『モンハンNow』）が発表となった。

　『Pokémon GO』や『ピクミン ブルーム』に続くNiantic社からの位置情報ゲームとして、サービス開始前から注目を集める『モンハンNow』。同タイトル成功への分岐点を考える。

『Pokémon GO』を超えるヒット作となれるか。「モンハン」シリーズ初の位置情報ゲームが登場

　『モンハンNow』は、「モンスターハンター」シリーズの発売を手掛けるカプコンと、『Pokémon GO』『ピクミン ブルーム』などのモバイルゲームで知られる米・Niantic社が協力し、開発・配信される位置情報ゲームだ。プレイヤーは、シリーズの世界観へと変化した現実世界を舞台に、ハンターとして狩りや素材の収集などに明け暮れる。タップやフリックなど、直感的でシンプルな操作が特徴で、片手でもプレイが可能。1回のクエストは最大75秒ほどで、空いた時間に気軽に楽しめる設計となっている。

　先述したNiantic社開発のほかの位置情報ゲーム同様、「現実世界での移動」をシステムの根幹に据えており、同タイトルでは、移動によってモンスターとエンカウントする仕組みをとっている。遭遇したモンスターはペイントボールを使ってマーキングでき、そうしておくことであとからでも戦闘が可能になるという。フレンドや近くにいるプレイヤーとともに狩りを楽しむこともできる。

　リリース時期は2023年9月を予定。基本プレイ無料・アイテム課金型で、Android／iOSに対応する。4月25日にはクローズドβテストもスタートした。参加には応募が必要で、当選者には運営からゲームへの招待メールが届く。4月29日現在も募集は継続中。グローバルで約1万名を募ることが発表されている。

成功のカギは「既存コンテンツとの住み分け」「ユーザーとの信頼関係の構築」に

　シリーズが獲得してきた人気を裏付けるように、『モンハンNow』には発表時から大きな注目が集まっている。βテストにも応募が殺到しているようで、SNS上には抽選に漏れたファンの姿も目立った。運営によると、今後も随時テスターの追加をおこなっていくが、次回は5月中旬ごろになる予定だという。しばらくは当選した一部のプレイヤーの感想をながめる日々が続きそうだ。

　『モンハンNow』は戦前の話題性に見合うだけの成功を収められるだろうか。そのカギは、既存コンテンツとの住み分けと、ユーザーとの信頼関係の構築にかかっていると考える。

　『モンハンNow』が分類される「位置情報ゲーム」の分野は近年、サブジャンルとして確立されつつある。Niantic社が手掛ける『Pokémon GO』や『ピクミン ブルーム』、『Ingress』のほか、スクウェア・エニックスが提供する『ドラゴンクエストウォーク』も安定的な人気を獲得している現状だ。特に『Ingress』を除く3作品と『モンハンNow』は、類似したゲーム性を持つ。どのように既存コンテンツと住み分けていくかが、生き残りのための分岐点となるのは明白だろう。

　くわえて、3作品は「モンスターハンター」以上に年齢・性別を問わない支持を得ているシリーズでもある。それらと競合するのだから、『モンハンNow』は『モンハンNow』なりのオリジナリティを訴求できなければ、簡単に淘汰されてしまうのかもしれない。

　もし同タイトルに有利な点があるとすれば、後発であることだろうか。ほかの「位置情報ゲーム」の失敗を生かした設計・運営となれば、競合を淘汰する側にまわる可能性もありそうだ。

　一方、『モンハンNow』の開発・配信を担当するNiantic社は、位置情報ゲームの一般化を加速させた『Pokémon GO』のサービス開始以降、バグへの対応や運営方針などで少しずつユーザーの信頼を失ってきた背景もある。直近では、同作に登場するアイテム「リモートレイドパス」の値上げに界隈から多くの批判が集まった。同社にとっては、ある程度納得のいく結果だったのかもしれないが、おなじ轍を踏むようなことがあれば、ユーザーの心が離れやすい状況にあるのは間違いない。新しい出発として再度信頼関係を構築できるかという点も、成功に向けて避けては通れない課題であるといえる。

　βテストに当選し、すでに遊べているプレイヤーたちの反応を見ると、好意的な意見が多いように映る。『モンハンNow』は界隈を熱狂の渦に巻き込めるか。サービス開始まであと5か月ほど。新たなステージでのシリーズの飛躍を期待したい。