ニュイ・ソシエールが配信する主な時間帯は、平日・休日関わらず13時から18時ごろにかけて。夜の時間帯に配信することもあるが、やむにやまれぬ事情がある以外、ほとんどの配信が昼から午後の時間帯に集中している。YouTubeのライブ配信で視聴されやすい夜の時間帯を基本的に避けていることは特徴的だ。

　プレイするゲームチョイスは、RPG／シミュレーション／オープンワールドなどのジャンルが多い。一方でアクション性が強いゲームやホラーゲームを苦手とする一面があり、特に「死にゲー」といわれるタイプが大の苦手、同期であり同じRPG好きでもある葉山舞鈴とはこの点で大きな違いがある。

　どちらかといえばしっかりとした世界観やバックボーンがあり、登場キャラクターの思惑や情緒がしっかりと描かれたストーリー性に比重を置いた作品を好んでおり、『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』『テイルズ』といった王道RPGを皮切りに、『Life is Strange』『Cyberpunk2077』『Detroit: Become Human』といった海外の話題作・人気作品を次々とプレイしてきた。

　キャラクターのちょっとした言動を敏感にキャッチして心中を察しようとしたり、セリフを丁寧に読み上げては「いやぁ……これなぁ……」と感情移入することも多い。ゲームが結末へと向かっていくにつれて泣き出してしまうこともしばしばだ。

　「ストーリーに感情移入して楽しむ」ことを優先しているため、アイテム集めやレベリングといったゲームの進行に必要な作業は配信内では見せないことが多い。アドバイス的なコメントは「必要ない」「いまはいらない」とバッサリ切り捨てつつ、いま目の前で起こっているストーリーやシナリオについてはリスナーと大いに語りあったりと、彼女の情動と判断によってしっかりとコントロールされた巧みな配信となっている。

　こうした配信者として“魅せること”の手腕もニュイが秀でた部分で、事実こういった配信の上手さにコメントしやすい雰囲気もあってか、彼女の配信は昼の時間帯にも関わらず視聴者が多いのが特徴だ。「にじさんじの昼配信といえばニュイ・ソシエール」というにじさんじファンも多いだろう。

　ちなみに、2020年年末からは「視聴者が選ぶニュイの長編配信で人気だったシリーズ」と題し、視聴者投票によるランキングを企画している。興味は持ったものの、どれから見たらいいのかと悩んでしまいそうな方はそちらをチェックしてみるのもよいだろう。

　また、年明けすぐには「やりたいゲーム候補をまとめる」配信をしているのも彼女の特徴だ。ニュイ自身の趣味嗜好から候補作品をピックアップしつつ、リスナーから挙がってきたオススメ作品や候補作品も検討し、そこから気になったゲームを見つければ候補に加えてみたりと、「一緒に配信を盛り上げよう・楽しもう」という機運が双方からぶつかる配信となっている。

　幸いにも、これまでの活動で体調を大きく崩して数週～数か月にわたって配信がストップする、といったことがなかったため、これまでにプレイしてきた作品数は非常に多い。彼女と同じようにRPGが好きなリゼ・ヘルエスタ、白雪巴、加賀美ハヤト、同期の葉山舞鈴らと比較しても、プレイ作品数は多い部類に入るだろう。

　これら2つの配信は「リスナーに自分を評価してもらう」という批評的側面が強い企画ともいえるが、こういった企画が数年に渡って成立するほどに「確立したスタンスを持った配信者」へとニュイ自身が成長し、それに合わせてファンたちを「節度をもってコメントできるリスナー」へと育てていった、ともいうべきであろう。

　その強固な関係性はにじさんじでも随一ともいえるかもしれない。