七海うらら×いかさん対談　時代を駆け抜ける歌い手同士が語り合う“戦略的な活動論”

——歌い手界隈ではコラボ動画が日々増えていますが、なかでもうららさんはショートの形式でコラボ動画をあげられていて、興味深いです。

七海うらら：たとえば、誰かとフルでコラボをして歌ってみた動画をあげようとすると、イラスト、歌い分け、MIX師、製作費の検討も含めて、結構なカロリーを消費するし、時間もかかる。でも、ワンコーラスとかサビとか聴かせたい部分だけをピックアップして投稿する分には、お願いした歌い手さんからボーカルデータのみをいただいた後で、私がMIX、動画編集もするので、めちゃめちゃ効率も良くて。コラボの動画をあげる先として、YouTube ShortsやTikTokなどのショート動画はすごく自分に合っていると思います。

いかさん：なるほど、それでショートだったんだね。自分もうららちゃんの動画をあげる頻度に驚愕していました（笑）。

七海うらら：活動する上では、フットワークの軽さがポイントかなと思っていますね。お金も必要ないし、自分たちの声1つで気軽に参加してもらえるようにすれば、コラボ成立の可能性が高くなるんです。

　あとは、「この曲のフルが聴きたい」みたいな意見がたくさん来た時には、オリジナルMVとかを作って、フルを投稿する流れにしています。特に反応がよかった曲に時間をかけるというか、ショート動画をうまく活用して、メリハリをつけてやっていますね。

　それこそ、ショート動画からでもいいので、いかさんともご一緒したいです（笑）。

いかさん：自分はフルでも全然嬉しいですよ（笑）。

七海うらら：ぜひお願いします！

——動画投稿する際に大事にしていることはありますか？

七海うらら：大切なのは、自分が満足できるクオリティの動画を投稿することだと思っています。妥協して中途半端な気持ちで投稿した動画は、後になって自分で見返したくなくなることが多いんです。逆に、見返したくなる動画ばかりが宝箱に詰め込んだ宝物みたいに積み重なっていけば、いつか誰かがその宝箱ごと見つけてくれる。

いかさん：過去の自分の動画に勇気づけられることもありますよね。

七海うらら：そうなんです。そういうこれまでの積み重ねがあったからこそ、過去の動画を辿ってくれる人がいっぱいいて、ここまで来ることができたと思うので、これからも楽しみながら、妥協せずに活動を続けていこうと思います。

ーーほかの歌い手にとっても、すごくタメになるお話ですね。それこそ、セルフプロデュース的な視点ではいかがでしょう？

七海うらら：私の場合、YouTubeとニコニコ動画の同時投稿を徹底していますね。活動者さんの中には、視聴率の分散を回避するために、YouTubeのみに動画を投稿する人もいらっしゃると思うんです。その気持ちもわかるんですよ。でも、YouTubeの急上昇ランキングは分母も大きく、全然話にならないくらいの大きな数字を持つアーティストがあがってくる仕組みですよね。

　一方で、ニコニコ動画のランキングであれば、自分の曲が上位に上がってくる可能性があるのが大きいです。シンプルに夢があるんですよね。やっぱり、見てもらえるきっかけは多い程いいと思います。

いかさん：分散するのはあまりいい策ではないよなとどこかで思いながらも、自分はニコニコ動画から離れたくなくて、同時投稿していました。けど、なるほど。

——うららさんがいかさんに聞いてみたいことがあれば、この機会にどうぞ。

七海うらら：私、昔から『マクロスF』という作品が好きで、中島愛さんが歌とお芝居を同時にされているのを見てきていて……。私もいつかそういう存在になりたいと思っています。どうすればいかさんのように声優としても活躍できるか、アドバイスをいただけると嬉しいです。

いかさん：活動をしている中で、普段から「お芝居の仕事もしたい」と言っておくのが大事だと思う。いろんなところにタネを撒いておくと、誰かの耳に入ってお仕事につながることもあるからね。

　自分も、事務員Gさんという方に「2.5次元舞台がキャスティングを行うみたいなんだけど、興味ある？　前にお芝居の話をしていたよね？」と声をかけていただいたのがきっかけで、初めてお芝居の仕事をすることになったんですよ。そこから週1で声優の専門学校に通うようになって、2016年には偶然にも、お世話になっていたポニーキャニオンさんに声優養成所『P's Voice Artist School』が開校して。腹を括って、この道を進もうと。今に至ったわけです。

七海うらら：2.5次元舞台が始まりだったとは意外でした。ちなみに、ボイスサンプルは作っておいたほうがいいですか？

いかさん：もちろん！　ボイスサンプルは外から見た「今の自分の状況」を判断する基準にもなるので。いずれにしても、作品を形にしておくのは大事だと思います。たとえば、歌で頑張っていくなかで、もしなにかの主題歌を歌わせてもらえる機会に出会えたとして、その時にうららちゃんが「演技もできる人」だということを周りの人が知っていたら、ちょっとした役でも、声優として仕事を任せてもらえる確率は上がるじゃないですか。そうした意味でも、今からいろんなところに手を広げておくのは本当に大切なことだと思う。

七海うらら：ありがとうございます。道筋がイメージできると、私にも可能性がある気がしてきました。今後もコツコツと活動を頑張っていきます！

■イベント概要
『歌ってみた Collection ～2023 Spring～』
開催日時 ：2023年4月21日（金）～24日（月）
開催場所 ：ニコニコTOPページなどのネットプラットフォームほか
公式Twitter ：https://twitter.com/uta_colle
公式サイト：https://utattemita-collection.jp/