『大乱闘スマッシュブラザーズX』15周年 任天堂の枠組みを超えた初の「スマブラ」
2023年1月31日は、『大乱闘スマッシュブラザーズX(以下、スマブラX)』の発売15周年の日となる。本作はシリーズとして初のシステムを取り入れ、「大乱闘スマッシュブラザーズ(以下、スマブラ)」シリーズを一歩先に押し進めたと同時に、さまざまな問題を抱えたタイトルでもある。今回は15周年を機に、本作がどのようなタイトルだったのか紹介する。
任天堂以外のキャラクターが初めて参戦
『スマブラX』は、2008年1月31日に任天堂からリリースされた対戦アクションゲームだ。大人気シリーズ「スマブラ」の3作目であり、Wii用ソフトとしてリリースされた。ゲームにそれほど親しんでいないユーザーにも多く普及したWii向けのソフトだけあって、初心者を意識した調整が特徴的だ。
前作『大乱闘スマッシュブラザーズDX(以下、スマブラDX)』との大きな違いといえば、やはり任天堂以外のメーカーのキャラクターが初参戦したことだろう。本作ではSEGAからソニックが、コナミからソリッド・スネークが参戦した。この試みは、シリーズの可能性を大きく広げたといえる。
もちろん任天堂作品からの新規キャラクターも豊富で、「星のカービィ」シリーズからはメタナイトやデデデ、「ドンキーコング」シリーズからはディディーコングなど、かねてより参戦を望まれていたキャラクターも追加。一方、『スマブラDX』で登場していたものの、本作では参戦が叶わなかったキャラクターも一部存在した。筆者としては、ミュウツーがいなかったことを非常に残念に思った。
運も絡む新要素に不満の声も
現在の「スマブラ」では定番のシステムである、「最後の切り札」が初登場したのは本作だ。「スマッシュボール」というアイテムを壊すと一度だけ使用できる必殺技であり、キャラクターごとの個性を活かした派手な演出と、戦況を一変させる性能を誇ることから、大乱闘に新たな緊張感と爽快感を与えた。
しかし、本作はシステム面において批判を受ける機会も少なくなかった。その最たる例が、”キャラクターがしりもちをつく(転ぶ)”ことだ。具体的には、ステップや走行反転の際に、低確率でキャラクターがダウンしてしまうのである。頻繁に発生するものではないにせよ、一時的に思い通りに操作できなくなってしまうことから、ユーザーからは不満の声が多く挙がっていた。
また、滑空システムもゲームバランスに著しく影響していた。本作ではピット、メタナイト、リザードンのみジャンプ後に滑空することが可能で、一撃で撃墜されないかぎり、ステージの遠くからでも復帰できていた。これは”いかに敵の復帰を妨害するか”がキモとなる「スマブラ」のゲームデザインをくつがえすほどの性能だったことから、批判の対象となっていた。
さらに、本作は『スマブラDX』と比べてゲームスピードを大きく落とされたことも、一部のファンには不評だったようだ。たしかにキャラクターの移動や攻撃動作などが全体的にもっさりとしたことから、アクションゲームとしての爽快感は減ってしまったことは否めない。とはいえ、『スマブラDX』の速さに苦手意識をもっていたユーザーは本作の調整を評価しているため、どちらが正解とは言いきれないのかもしれない。