2023年のゲーム業界の動向を予測。変わらないこと、変わること

 さまざまな賞レースとともに2022年の総括が終わり、明けた2023年。今年はゲーム業界にとってどのような1年となるだろうか。2022年の主要トピックを振り返りつつ、2023年の動向を予測する。

2022年、ゲームシーンをにぎわせた主要トピックたち

『あつ森』超えの大ヒットタイトルが立て続けに登場

 まずは記憶に新しいこの話題から。国内市場における初動と売上本数、また到達するまでの早さなどから、商業的成功の代名詞となっていた『あつまれ どうぶつの森』(以下、『あつ森』)。その大きすぎる数字を超えるのは困難かと思われていたところに、2つのタイトルが登場し、記録をあっさりと塗り替えてしまった。ひとつは、9月発売の『スプラトゥーン3』。もうひとつは、11月発売の『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、『ポケモンS・V』)だ。

 大人気シリーズの最新作であるだけに、どちらも売上を伸ばすと予測こそされていただろうが、実際には『スプラトゥーン3』が発売から3日間で345万本、『ポケモンS・V』が発売から3日間で405万本と、『あつ森』の持つ188万本の数字を大きく上回った。こと商業的な成功という視点にかぎれば、歴史に名を残すゲーム作品が2022年に2本も生まれたことになる。両タイトルがどのような記録を打ち立てるのか。今後の動向から目が離せない。

オープンワールドのトレンドの集大成?『ELDEN RING』が高評価を獲得し、GOTYを受賞

 『ELDEN RING』の発売と成功も、2022年を代表するトピックのひとつだろう。「ソウル」シリーズの文脈を受け継ぐタイトルとして、その存在が明らかとなったときから注目をほしいままにしてきた同作。前評判に違わぬ面白さ・完成度から高い評価を獲得した。12月に開催された『The Game Awards 2022』では、「その年にリリースされ、クリエイティブ及び技術分野で最高のエクスペリエンスを提供する」と判断されたビデオゲームに贈られる賞『The Game Award for Game of the Year(GOTY)』を受賞。文字どおり、2022年を代表するゲーム作品となった。

 オープンワールドは、昨今のゲーム業界におけるトレンドジャンルともなっている。多くのタイトルが発表されながら、開発の難しさから長らく金字塔がアップデートされていなかった同ジャンル。ようやく現時点での集大成ともいえるタイトルが登場した。

Google・Stadiaの撤退で、クラウドゲーミング市場に立ちこめた暗雲

 2019年に次代を担うサービスとして鳴り物入りで登場したGoogleのクラウドゲーミング『Stadia』。同分野の競合であるMicrosoftの『Xbox Game Pass』が躍進するなか、以前から苦戦や不評がささやかれていたが、ついに2022年9月、Googleは同サービスの提供終了を発表した。同社はサービス終了の決断に至った理由を「期待したほど支持が得られなかったこと」としている。近い将来、ゲーム体験そのものを変えるかもしれないと予測されていたクラウドゲーミングだけに、このニュースは話題を集めた。

 失敗の背景にはさまざまな理由があるだろう。それらを定着への糧とできるか。クラウドゲーミングの未来は、Microsoftやソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)、NVIDIAといったキープレイヤーたちに委ねられた格好だ。

 もちろんここで紹介した3つ以外にも、「ゲームイベントのリアル開催の復活」「M&Aで進む業界の再編」「カスタマイズコントローラーの人気の高まり」など、さまざまなトピックがゲームシーンを盛り上げてくれた。長い歴史のなかでも稀に見る充実の1年だったのではないだろうか。

2023年はゲーム業界にとってどんな1年に?

待ち望まれた安定供給。PS5がようやく普及機に

 2020年11月のローンチ以降、2年以上にわたり手に入りにくい状況が続いているソニーの現世代機・PlayStation 5。2023年には、抽選に応募しなくても店頭で自由に購入できるほどの十分な供給が見えてきそうだ。

 これはSIEの社長兼CEOであるジム・ライアン氏の発言に基づいたもの。同氏は12月に開催された『PlayStation Partner Awards 2022』において、「PlayStation 5の長期的な供給の問題を解決し、この年末商戦から2023年に向けて多くの日本とアジアのお客様へお届けできることを皆様にご報告させていただきます」と述べている。こうした発言を受け、直近では、「FINAL FANTASY」シリーズのナンバリング最新作『FINAL FANTASY XVI』(2023年6月発売予定)でプロデューサーを務めるスクウェア・エニックスの吉田直樹氏も、「(年明けには)PS5が山積みになってくる日が見えてきます」と言及した。

 これにより、ようやくPS5がSIE製ハードの普及機となり、(Xbox Series X/Sに手を出していなかった)多くのフリークが最先端のゲーム体験を享受できるようになる。新たなソフトウェアの開発にも追い風となっていくだろう。安定供給を待ち望んでいたプレイヤーにとっては、2023年きっての明るい話題となるのではないだろうか。

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