NTTからコンシューマー向けオープンイヤー型イヤホンが発表　音響ブランド「nwm（ヌーム）」を立ち上げ

　NTTグループの新会社NTTソノリティは11月9日、「耳元だけに音を閉じ込める」PSZ（パーソナライズド・サウンド・ゾーン）技術を活用したデバイスやサービスを手掛ける、NTTグループとしては初のコンシューマー向け音響ブランド「nwm（ヌーム）」の立ち上げを発表した。第1弾製品として、オープンイヤー型なのに周囲への音漏れを最小限抑えるPSZ技術搭載のパーソナルイヤースピーカー2製品を発売する。

　リモートワークの普及も含めイヤホンを利用する機会が増えているが、長時間の装着による耳の疲労や、すぐそばに家族や同僚がいるのに、耳が塞がれていることによりコミュニケーションが取れないなどの問題がある。「リモート会議中のママ、電話をするパパ、動画を楽しむ子ども。それぞれ別々の作業をしていても、邪魔することなく、分断もすることなく、シームレスにみんなが快適に繋がることができたら」そんなこれからの働き方・暮らし方を「音のテクノロジー」で実現すると、新ブランドnwmを立ち上げた理由を説明する。なお、nwmは、「the New Wave Maker」の略となっている。

　また、既存の音響ブランドにはBOSEなど、音質面に重点を置いたメーカーが多数存在しているが、nwmはそれらと競合するのではなく「Work from Homeシーンで選ばれるNo.1ブランド」を目指すとしている。追求したいのは、没入感ではなく周囲とつながる気持ちの良さとのことだ。

　nwmブランド製品の主軸となるのが、PSZ技術だ。ある位相（正相）に対して逆相の音波を当てることで音波同士が打ち消し合い、音が聞こえなくなる作用に注目。特殊なハードウェア設計により、耳元に小さなカプセルのような音の空間を生み出し、耳を塞がなくても周囲への音漏れを最小限に防ぐことができる。逆相の音波をぶつけて消音するという考え方は、アクティブノイズキャンセリング（ANC）と同様だが、単一のスピーカーのみで実現しているのが新しいところだ。

　従来の音響デバイスのスピーカーでは、音をより遠くに届けるため、スピーカーユニットを収めるエンクロージャーの中に逆相の音波を閉じ込め、正相との干渉を防いでいる。一方で、PSZではこの逆相を積極的に活用することで、消音を実現した。

　このPSZ技術を搭載した製品として、有線タイプの『nwm MWE001』、無線タイプの『nwm MBE001』が発表された。有線タイプのWME001は8250円で、すでに発売されている。今後、量販店などでの販売も検討しているとのことだ。

　「nwm MWE001」は、12mm径のドライバーユニットを搭載するオープンイヤー型のイヤホン。いわゆるシェーファー掛けのように耳に装着するが、ドライバーユニット自体は耳を塞がない構造だ。近年増えている「耳を塞がない」イヤホンではあるが、他のイヤホンとは異なり、PSZ技術のおかげで15cm離れた場所では図書館の静けさ並みの騒音レベルに音漏れが減衰しているとのことだ。

　重要も左右合わせて9g（ただし、コードは含んでいない）と軽量。耳を圧迫しないことも含めて、長時間の利用でも苦にはならなそうだ。

　無線のMBE001は、今冬、国内向けに「GREEN FUNDING」、海外向けに「Indiegogo」にてクラウドファンディングを実施予定。有線タイプと同様に12mm径ドライバを採用している。バッテリー持続時間は最大6時間。充電時間は約2.5時間。キャリングケースが付属するが、他のワイヤレスイヤホンとは異なりバッテリーは非搭載となっている。