『Nothing Phone(1)』がスケルトンデザインにこだわる理由 デザインケータイも挑戦した新しい切り口とは

アイデンティティとしてのスケルトンデザイン

 「Nothing」初の製品であるワイヤレスイヤホン『ear(1)』は、日本でも大きな話題になった。その要因のひとつに、スケルトンデザインがある。これまで、時代遅れのデザインだったスケルトンデザインを、最先端でクールなデザインに変えた。同社第2弾の製品となるスマートフォンにも、スケルトンデザインを採用することで、「Nothing=スケルトン」という認識を広めたいのは明らかだ。

 そもそも、なぜ「Nothing」はスケルトンデザインにこだわるのだろうか。その理由のひとつとして、CEOであるカール・ペイの触れてきたカルチャーを挙げてみたい。

 スケルトンデザインが流行したのは、主に1990年代半ばから2000年代前半ごろといわれている。当時、任天堂やソニーのゲーム機をはじめ、Appleの初代iMacもスケルトンデザインを取り入れ、一躍ムーブメントを巻き起こした。

 1989年生まれのカール・ペイは、多感な時期を、数多くのスケルトンデザインと過ごしてきたといえる。彼のTwitterには、ポケモンがよく登場し、各メディアのインタビューでは、任天堂やソニー、Appleからの影響を語っている。こうした原体験は、少なからず彼の思想に影響を与えていることは間違いないだろう。

 カール・ペイは、昔のデザインの代名詞となったスケルトンデザインに、新たな価値観を定着させたいのかもしれない。そこには、自分が接してきたカルチャーへの恩返し的な意味も含まれるだろう。今後の製品にもスケルトンデザインを採用し続ければ、「Nothing=スケルトン」となる日もそう遠くはないはずだ。

「Nothing」はスケルトンデザインを復活に導けるのか

 どれだけデザインが完成していても、スマートフォンにとって重要なのは、その中身だ。デザインや思想だけが先行し、ユーザーにとっての実用性を軽視した結果、姿を消した企業は少なくない。

 日本でも『Nothing Phone(1)』発表後、SNSを中心に、FeliCa非対応という点で購入を控えるといった意見が目についた。中国のスマートフォンメーカー「OnePlus(ワンプラス)」の設立者でもあるカール・ペイによって、安定したスペックを実現していただけに、FeliCa非対応は悔やまれる点ではある。しかし、この点を我慢してでも、手にしたくなる魅力のある製品といえるだろう(少なくともスケルトン好きにとっては)。

「Nothing」は、かつて流行したスケルトンデザインを再定義し、復活に導くことができるのか。この夏、あの日抱いていたワクワク感を胸に、『Nothing Phone(1)』の発売を待ちたいと思う。

(画像=PRTimesより)

参考

Nothing 日本公式サイト:https://jp.nothing.tech
au Design project 15th Anniversary 2002-2017 - Time&Space:https://time-space.kddi.com/adp15th/

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