ホロライブ・雪花ラミィが見せる“深い愛情” 雪民との会話などから考える
YouTubeの累計登録者数が6,000万人を越える人気バーチャルタレント事務所・ホロライブプロダクション。その女性アイドルグループ「ホロライブ」のメンバーを紹介するコラムは8回目。今回はホロライブ5期生のひとり、雪花ラミィの魅力をご紹介したい。
ホロライブ5期生・通称“ねぽらぼ”の一員として活動する彼女は、グループの規模が急激に大きくなっていた2020年8月にデビュー。初配信からリアルタイムで10万人を超える視聴者が集まるなか、同期のデビュー1番手を務めた。VTuberの始祖・キズナアイが推しを公言しているメンバーでもあり、過去に本人からスーパーチャットをもらったこともある。
そんな彼女の魅力といえば、まずは長時間聞いても飽きさせないトーク力だろう。一口にトークスキルと言っても様々なタイプがあるが、彼女は起承転結をはっきりつけるというよりも、絶妙な塩梅の間や口調を活かしてずっと心地よく聞ける話術の持ち主で、自身が親しみを込めて「雪民さん」と呼ぶリスナーのコメントに笑ったりツッコんだりしながらさりげなく会話を回す様子は、まるで常連客が集まる小料理屋の若女将のようでもある。また、華道の経験などを筆頭にふいに育ちのよさが垣間見える瞬間もあり、そんな彼女の人柄に惹かれて集まった様々なリスナーと居心地のいい配信空間をつくる姿が印象的なメンバーだ。
なかでも、リスナーとのやりとりから生まれた鉄板ネタと言えるのが、配信中に突如スタートする大喜利大会。自然発生的にはじまったネタのため、なにが最初のきっかけかを書くのは難しいが、リスナーがボケ、彼女がツッコミを担当し、相乗効果的に大喜利の輪が広がっている。
その結果、配信内ではこれまでに、「YAGOO(ホロライブを運営するカバー株式会社のCEO谷郷氏の愛称)に雇われて配信を観ている」と主張して冬のボーナスを要求する「ビジネス雪民」や、一本締めが行なわれると配信を放り出してラーメンやカラオケに行こうとする「二次会雪民」など、様々な雪民の姿が観測されている。ある日の配信では「雪民さんのファンになりました」とスーパーチャットを送る「雪民の雪民」も登場。こうしたユーモラスなやりとりが日常的に行なわれるため、ふらっと立ち寄りたくなるのが彼女の配信だ。現在は休止中ながら、ホロライブの朝~昼配信を支えてきたメンバーのひとりでもある。
もともとの趣味が高じた晩酌配信も定期的に行なっており、2021年に取り組んだ「ラミィの日本酒づくりプロジェクト」では、明利酒類株式会社のサポートのもと、配信上で原料米や精米歩合、酵母、アルコール度数をいちから考えたオリジナルの日本酒「大吟醸 雪夜月」を完成。この「雪夜月」は好評を呼び、再生産した「大吟醸 雪夜月 Season2」も既に完売となっている。また、今年に入ってロンドンで開催された品評会「IWC(International Wine Challenge)2022」の「SAKE部門」では「雪夜月」がブロンズメダルを受賞した。
ホロライブでは珍しく基本的に歌枠を行なっていないメンバーでもあり、話し声よりも深みが増す魅力的な歌声は記念配信やライブイベント、「歌ってみた」などで聴くことができる。昨年11月にYouTubeで行なわれた誕生日3Dライブでは、『ラブライブ!』などで知られる木皿陽平がサウンドプロデューサーを担当したオリジナル曲「明日への境界線」を発表。この曲は彼女の記念配信ではお馴染みのクオリティの高いオリジナルアニメーションを挟んで披露され、ホロライブでアイドルを目指すことへの気持ちが伝わってくるようだった。また、最近ではこうした音楽面での活動により積極的になっているような印象も受ける。