上沼恵美子、小林幸子、黒柳徹子などがYouTubeで躍進中 大御所女性タレントが続々参入する理由は?
有名無名問わず、誰もが気軽にYouTubeチャンネルを開設するようになって久しい昨今、ベテラン女性芸能人のYouTuber参入も相次いでいる。
昨年21年12月19日、上沼恵美子がYouTubeを始めたことが大きな話題を呼んだ。上沼といえば、関西で絶大な人気・知名度を誇る司会者としてお馴染み。 “西の女帝”がYouTubeでいったい何を発信するのか――多くの関心を集める中、上沼はこれまでに“らしさ”溢れる動画を投稿している。
YouTubeではトークを細かく編集するのが定石となっている。しゃべりが達者と言われているYouTuberは多いが、実は不要な発言をカットして間を詰め、テロップを挿入することに助けられている者も少なくない。しかし、上沼はトークをほとんど編集しない。話を細切れにしてつなぎ合わせることもしなければ、テロップも打たない。淀みなく、ひたすら一人でしゃべり続けるのだ。そのテンポ、間の取り方、ワードセンスは達人の域。時に笑わせ、時に泣かせる話芸は落語に近く、特別な企画がなくてもしゃべり一つでコンテンツを成立させられるのは大きな強みと言える。また、上沼には料理もある。長年「おしゃべりクッキング」で培ってきたノンストップでしゃべりながら手元を動かす妙技は健在で、彼女の料理動画は安定した再生回数を稼いでいる。それに加え、実際にやるかどうかは別だが、その気になれば歌も歌える多芸な上沼は、YouTube向きの大御所と言えるだろう。
上沼はYouTubeを始めた経緯について「主人と息子に勧められた」と説明しているが、このように身近な人間からのアドバイスを受けてYouTubeデビューに踏み切る大御所は多い。歌手の小林幸子もその一人だ。小林は21年9月10日、古参スタッフからの助言を受けて、もともとライブ映像の一部を公開したり、歌ってみた動画をアップしたりと、音楽コンテンツ配信プラットフォーム的に運用していたYouTubeチャンネルをリニューアル。チャンネル名を「小林幸子はYouTuBBA!!」と改めて再スタートを切った。
現在68歳の小林だが、10年ほど前からニコニコ動画と縁が深いことからもわかる通り、ネットカルチャーとの親和性は意外に高い。若いスタッフに勧められるがままに、ルームツアー、激辛ペヤングの実食、スタバの新作の飲み比べなど、自分よりもずっと年下のYouTuberがやるような企画に戸惑いながらも、ノリノリで挑戦する姿は微笑ましい。
大御所の強みの一つに、長きに渡るキャリアの中で蓄積された思い出話がコンテンツになるということも挙げられる。そういった意味において、エピソード豊富さで黒柳徹子に勝るタレントはいないだろう。御年88歳で、日本初のテレビタレントという肩書を持つ黒柳は、まさに芸能界の生き字引的存在。21年7月7日よりスタートしたYouTubeチャンネル「徹子の気まぐれTV」では、冠番組『徹子の部屋』の裏側に迫る動画とともに、“黒柳徹子伝説“に迫る本人によるトーク動画も人気だ。中でも21年7月28日公開の動画では、エリザベス女王や元ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフとの交流が語られており、改めて唯一無二の存在であることを思い知らされる。
数年前まで芸能人がYouTubeに参入することは少なからず“都落ち感”があった。しかし2020年頃より、コロナ禍の影響もあってテレビで人気のお笑い芸人、俳優、アイドルがこぞってチャンネルを開設したことで、タレントがYouTubeをやることは当たり前のものになった。こうした追い風もあって、21年頃より大御所と呼ばれる女性芸能人のYouTubeデビューが相次いだわけだ。今後も意外な大物女性タレントがYouTubeに参入し、ここでしか聴けない話、見られない素顔を披露してくれることに期待したい。