生誕30周年を迎える「星のカービィ」 最新作にも受け継がれた“カービィらしさ”の本質とは?

3Dアクション化になっても“遊びやすさ”は健在

 では、最新作『ディスカバリー』ではシリーズ伝来の遊びやすさはどのように受け継がれているのか。その答えは“3Dアクションゲーム化に伴うシステム調整”に隠されている。『ディスカバリー』はシリーズ初の完全3Dアクションということもあり、2Dアクションゲームの時とは違った難しさに対する様々な解決策が講じられている。

任天堂公式HPより

 カービィの攻撃判定を例に挙げると、「ゲーム画面では攻撃が当たっていなくても、プレイヤー側の視点(ゲーム内カメラを通した視点)で攻撃が当たっていれば、ダメージ判定が出る」ようになっている。3Dアクションは奥行きの概念が生まれるため、不慣れなプレイヤーだと攻撃を当てること自体が難しい。この悩みを解消するべく、『ディスカバリー』はプレイヤー側の視点で「攻撃が当たっている」なら、たとえゲーム内の位置関係がズレていたとしてもダメージ判定を出そう、という施策にいたったわけだ。

 そのほか、アクションゲームに慣れていないプレイヤーのため、作中ではカメラ視点もゲーム側であらかじめ制御されている。立体的な3D空間を移動する際、プレイヤーがカメラ視点の切り替えを行わずとも、ゲーム側で視点コントロールを担ってくれるのだ。2つの操作(キャラクター&カメラ)を動かすのは慣れを要するが、『ディスカバリー』はカメラ操作をゲーム側でカバーし、プレイヤー側の負担を減らす方向へ舵を切った。こちらの詳細な取り組みは『ディスカバリー』公式インタビューに記されているので、興味のある方はそちらをご覧いただけると幸いだ。

任天堂公式HPより

 もちろん、カービィの代名詞たるコピー能力もさらにパワーアップ。「レアストーン」を消費して行うコピー能力の強化(ファイア→ボルケーノファイアなど)に加え、ゲーム内のオブジェクトを丸呑みして能力を獲得する「ほおばりヘンケイ」が可能に。コピー能力は炎や氷などのファンタジーな素材が多かったが、ほおばりヘンケイの素材は自動車や自販機などの現代的なアイコンがメイン。文明の利器を飲み込み、身体の形を大胆に変えて能力を獲得する様は、シリーズが代々受け継いできたコピー能力の系譜に新たなページを刻むことになった。

 2Dから3Dへ変わってもシリーズ特有のエッセンスを踏襲し、ライトユーザーが安心して遊べるゲーム性を代々受け継いできた「カービィ」シリーズ。2022年で誕生30年という節目を迎えたわけだが、今後のシリーズ作品ではどのような試みが見られるのか。その動向に今後も注目したい。

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