『ストリートファイターV』6周年! プロシーンとコミュニティの変化を振り返る

 2016年2月16日に発売された“スト5”こと『ストリートファイターV』は、まもなく6周年を迎えようとしている。2022年1月29日に開催された『ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021 グランドファイナル』では、劇的な展開に胸を熱くした視聴者も多かっただろう。

 『ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021』に出場する選手は、全員JeSUプロライセンスを保有している。また、リーグ戦は『スカパー!』でテレビ放送された。

 ゲームセンターという閉ざされた場で、人知れずトッププレイヤーがしのぎを削っていた時代と比較すると、昨今における格闘ゲームのeスポーツ化は著しい。

 本記事では、スト5のプロシーンとコミュニティの動向を振り返り、現在のスト5シーンについて紹介する。

格闘ゲームの歴史におけるスト5の立ち位置

 スト5は発売時点から、シリーズの中でも異色の背景を持っていた。もともと格闘ゲームというジャンルのルーツはゲームセンターにある。家庭用版が発売されることはあっても、あくまでも主戦場はゲームセンター。というのも、ゲームセンター内の対戦の方が、家庭用のオンライン対戦と比べてラグが少なく快適だったからだ。ゲームセンターは猛者が自然と集まる環境だったため、「強いやつはゲームセンターにいる」という共通認識があった。

 そんななか、スト5では家庭用版だけがリリースされた。ストリートファイターの主戦場は、ゲームセンターから家庭用に移行したのだ。また、スト5はシリーズで初めてeスポーツを考慮して開発された作品だといえる。国内のプロ格闘ゲーマーが誕生したのは、前作の『ストリートファイターIV』が発売されて以降だからだ。

新型コロナウイルス感染拡大の影響

 スト5がリリースされてからの数年間、プロゲーマーは毎週のように海外大会に遠征していた。大会の様子はインターネットを通じて配信され、多くのファンを魅了した。当時を振り返ると、「プロゲーマーの仕事=大会に参加すること」といった側面が強かったと思える。

 この状況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一変することになる。毎週のように開催されていた海外大会は激減し、大会の主流はオンラインに移行した。またオンラインといっても、ラグの関係で遠く離れた地域との対戦はできない。そのため、各地域毎のオンライン大会が一般的になった。

個人配信のビッグウェーブ

 オンライン大会が主流になったことをきっかけに、プロゲーマーは個人配信に注力し始めた。海外遠征に費やしていた時間を他のことに割り振れたからだ。個人配信が活発になると、コメントでファンと交流する機会が増える。プロゲーマーとファンの距離はグッと縮まった。また、ゲーム攻略の広まり方も変化した。配信のコメントを通じて、プロゲーマーが持つ最先端の攻略の一部がコミュニティの末端まで浸透した。さらに配信コンテンツとして、スト5初心者向けの情報が発信されるようになった。配信視聴をきっかけに、スト5に熱中したファンは続出しただろう。

 プロゲーマーの配信内容は、格闘ゲームにとどまらない。人狼ゲームやラジオなど、配信内容は多様化していった。これにより、彼らの配信は格闘ゲームファン以外の目にも留まることになる。プロゲーマーのユニークな性格や、独特なコミュニティは、これまで格闘ゲームに縁がなかった層の心を掴んだ。結果、格闘ゲーム以外の導線から格闘ゲームファンが続々と誕生した。ひと昔前は、格闘ゲームにのめり込むきっかけといえば、ゲームセンターで直接ゲームに触れることだっただろう。個人配信が盛んな昨今では、格闘ゲームの魅力を知るきっかけは多様化しているのではないだろうか。

【#格ゲーマー人狼 01】準備のぐだりをノーカットで【ウメハラ sako ボンちゃん どぐら アール 総師範KSK 三太郎 立川 カワノ】(2020/6/25)

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