なぜお金の話は避けられてしまうのか？　ドキュメンタリーで学べる『“お金”をダイジェスト』のススメ

大切な人とお金の話をしよう

　『“お金”をダイジェスト』は、節約術や貯金術を具体的に教えてくれるわけではありませんが、お金の秘密やまつわる知識を与え、お金の話題へのハードルを下げてくれます。パートナーと一緒に見れば、お金の話がしやすくなり、ある程度内容が分かる年齢の子どもと見れば、学資ローンや返済型奨学金についてのプランを一緒に立てられるようになるかもしれません。

　日本では少子高齢化が進み、老後資金は2000万円などの言われているので、本作をきっかけに、今一度、保険や人生プランを見直してみてもいいでしょう。お金をタブー視する風潮を見直すことも大事です。

　筆者は、以前、欲しいものは自分で金を捻出するか作って手に入れるという教育方針のもとに育った人と出会いました。彼は幼い頃にコンピューターが欲しかったけれど、親が買ってくれなかったために、ひとつひとつパーツを揃えて手作りしたそうです。目標に向かってお金を貯めること、稼ぐこと、ものづくりの楽しさに触れられただけでなく、精神的自立を早めてくれたと、買い与えなかった親に感謝していると言いました。親に甘やかされ、成人になったあとでも子ども扱いされていた筆者と対照的で、とても羨ましいと思ったことを鮮明に覚えています。

　生活レベルを測るような下世話な方向に向かわなければ、お金の話は楽しく、人生や人間関係を豊かにしてくれると思います。『“お金”をダイジェスト』は、そのきっかけになるのではないでしょうか。1エピソード20分程度なので気負わず見られて学びが多いですよ。

■中川真知子
ライター。1981年生まれ。サンタモニカカレッジ映画学部卒業。好きなジャンルはホラー映画。尊敬する人はアーノルド・シュワルツェネッガー。GIZMODO JAPANで主に映画インタビューを担当。Twitter

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