キーボード付き、スケルトン、レザー……LGの“挑戦的”なスマホの歴史に想いを馳せる

何もかも挑戦づくし「Fx0 LGL25」


 auの2014年冬モデルは、一体感のあるデザインが美しい「Xperia Z3 SOL26」や、片側曲面ディスプレイを採用した意欲作「GALAXY Note Edge SCL24」が登場するなど、魅力的なラインアップだった。

 そんな中、2014年の終わりに登場したのが、「Fx0 LGL25」だ。「ウェブ新世紀ハジマル」をキャッチコピーに、2014年冬モデルとは一線を画す、ギーク向けのスマホが登場した。最初で最後の"Firefox OS"を搭載し、auの猛プッシュで注目を浴びた1台だ。

 本作では、「初代iMac」や「ゲームボーイカラー」などを彷彿とさせる、スケルトンボディを採用している。筐体が透けて見える挑戦的なデザインは、日本を代表するデザイナー・吉岡徳仁によって作られた。同氏は、過去にもauのiidaで、スケルトンボディのガラケー・X-RAYをデザインしている。

 スケルトンボディの他にも、Firefoxのロゴが浮かぶホームキー、シボ加工を施した背面パネル、特注で作られたネジなど、細部までこだわりが凝縮されている。

 しかし、auがコスト無視で開発した割には、ガジェット好きの心を掴めず、想定する売り上げには届かなかったようだ。

 それでも、auの要望と同氏のデザインを実現した、LGの技術力が感じられるスマホといえるだろう。

背面デザインの再考「isai vivid LGV32」


 auの2015年夏モデルとして登場した「isai vivid LGV32」。本作は、背面にレザー素材を使用した意欲作だ。当初、ブラック、ホワイト、シャンパンの3色展開だったが、その後「レザーブラック」と「レザーブラウン」が追加された。背面にレザーを使った2色は、本作のベースとなった「LG G4」を受け継いでいる。

 「LG G4」は、当時の人気シリーズにも関わらず、背面にレザー素材を採用し、注目を浴びたスマホだ。

 背面レザーは、使い込むほどにデメリットが増えるスマホの常識を変えたといえる。スマホは毎日使うものだからこそ、経年変化で味が出るレザーと相性がいい。レザー素材は、停滞した背面デザインに新たな風を吹き込んだ。

 その後、背面レザーは、多くのメーカーに波及し、高級感を出す手法として確立した。

LGの挑戦がスマホデザインの未来を切り拓く

 挑戦的なデザインは、商業的に失敗する可能性が高い。それだけ革新性の高いものは、ユーザーが受け入れるまでに時間がかかる。最近では、クラウドファンディングで商業的な安定性を維持しながら、革新的なスマホを作る企業も増えてきた。

 ただし、LGのような大企業になれば、安易な失敗は許されないだろう。企業として、売り上げを維持しながら、一定の革新性を保つのは、あまりにも難しい。そんな中、挑戦的なスマホデザインを生み出してきたLGの功績は讃えるべきといえる。

 これまで残してきたデザインは、新たな世代が何らかの形で引き継いでくれるはずだ。LGの挑戦が、スマホデザインの未来を切り拓くきっかけになることを願う。

■菊池リョータ
個性派スマホを愛するライター。ガジェット系を中心に記事を執筆。デザイン性の高いスマホに目がない。

引用:https://www.lg.com/jp

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