AI業界でも注目集まる女性登用問題……バイアス解消に向け機運高まる

 コロナ禍をきっかけにAI導入の機運が高まる一方、AIビジネスに携わる女性の人材不足はAIのバイアスを生む一因になり得るとして社会問題にもなっている。そんななか、国際女性デーの3月8日、AI業界における女性の地位向上を求める声が相次いだ。

 数少ないAI企業の女性社長として、DefinedCrowd社のCEOを務めるダニエラ・ブラガ氏。国際女性デーに開催されたオンライン会議「ウーマン・イン・データサイエンス・ワールドワイド・イニシアティブ」では、「この30年間、IT業界はまさに男性優位な時代を経てきた。今後はより良い未来にするために、私たち女性が一丸となって取り組んでいく必要がある」と決意を表明した。

 ブラガ氏は2015年12月、DefinedCrowd社を設立すると同時に、AI開発に必要なデータを生成する機械学習プラットフォームを立ち上げ、翌年にはCEOを引き継いだ。ちなみに同社は、北米のスタートアップをランキング化した「GeekWire 200」において21位に浮上しており、新進気鋭のスタートアップだ。

 ブラガ氏は続けて「現状のAI開発に足りないのは、感覚的アプローチ」とし、「女性は男性よりも第六感が優れており、その特性を活かすことで、より高精度な感情知能を開発することが可能」と考えているという。「ウーマン・イン・データサイエンス・ワールドワイド・イニシアティブ」では、AIが人間に追いつく未来が想定される中で、倫理や規制に加え、AI業界における女性エンジニアの増員および同業界を牽引する女性リーダーの配置の必要性を強調した。

 また、ITコンサルティング企業の代表取締役・CEOを務めるアンドレア・マンデルバウム氏もまた、IT業界を仕切る女性リーダーとして、IT業界における現状を懸念するひとりだ。マンデルバウム氏はIT業界における男性優位のキャリアパスという因習を打ち破るためにも、女性に対しAIへの関心を促す必要があると言及している。

 コロナ禍の影響もあり、特にIT以外の業界は不景気の煽りを受けている。非IT部門の失業者に共通して言えるのは理系スキルの欠如だ。そこで、中学や高校におけるSTEM教育を強化したり、ただ生徒に教えるのではなく、新たな発見へと繋がるワークショップを開催したりするなど、現行の教育体制の改善を求める女性エンジニアの声もあがっている。現行の教育を見直すことは、女性に対してAIへの関心を促すという意味でも有効な方法のひとつと言えるだろう。

 カナダのAI企業Element AIが2018年に実施した調査によると、人権意識が高い米国でさえも、女性のAIエンジニアの数はわずか13パーセントという結果も。その割合は台湾において最も高く、次いでオランダ、僅差でフランス、デンマーク、オーストリアと続いている。日本においては、同調査が実施された時点で14.29パーセントと、米国よりも若干高い水準を打ち出していた。