鈴木亜美、“激辛YouTuber”として奮闘中 「40歳からどこまで人は成長できるのか見せていきたい」

 鈴木亜美が、2021年1月17日にYouTubeデビューを果たした。それから約1ヶ月、得意な激辛ネタを中心にイキイキとした表情で動画をアップしている姿が視聴者を楽しませている。

 1998年、オーディションバラエティ番組『ASAYAN』(テレビ東京系)を通じて、小室哲哉プロデュースでデビューした鈴木亜美。当時から親しまれている「あみーゴ」の愛称から、YouTubeチャンネルも『あみーゴTV』と名付けられた。

 アーティストとしての愛され力に加えて、子育て中のママという親近感、激辛を物ともしない特異な能力……と、多角的な魅力を持つ鈴木亜美がこれからさらに多くのファンを魅了していくのではないかという可能性をひしひしと感じる。

 そこで今回は『あみーゴTV』の撮影をした直後の鈴木亜美にインタビューを実施。YouTubeチャンネルを開設した背景から、始めてみてわかったこと、そしてこれからの目標について聞いた。(佐藤結衣)

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「やるからにはどこかブッ飛んでいたいし、面白いものを!」

――もともとYouTubeがお好きだったとのことですが、いつごろからどんな動画を楽しんでいらっしゃったのでしょうか?

鈴木亜美(以下、鈴木):20代半ばくらいからでしょうか。人が食べる姿を見るのが好きで、テレビの大食い番組とかは欠かさず見ていたんです。なので、YouTubeって動画を自分で選んで見られるなんて最高って(笑)。

――チャンネル登録しているクリエイターの方はいらっしゃいますか?

鈴木:『ゆっチャンネル』のゆっちゃんとか、『いまいマイケルズ』さん。それから韓国の『 [Dorothy]도로시 』さん。あとは、やっぱり木下ゆうかちゃんとか、ロシアン(佐藤)ちゃんとか、ぞうさんパクパクさんとか、あと谷やんさん、MAX鈴木さん、激辛ジョニーさんも見ますね。

――大食いの方と激辛メニューの組み合わせは、鉄板の面白さがありますよね。

鈴木:ですよね! 木下ゆうかさんも本当は辛いの苦手なはずなんですけど、果敢にチャレンジされていて。どんどん味変していく様子も面白いですし。「もう、ほぼほぼ卵とマヨネーズじゃん!!みたいなツッコミを入れながら楽しんでいます(笑)。

――見るのがお好きだったところから、ご自身でやってみようという流れになったのは、いつごろからだったのでしょうか?

鈴木:この2年ぐらいです。実は結構前から「YouTubeをやりたい」という話はしていたんですが、そのころはまだ子どもが小さかったのもあり、定期的に更新していけるだろうかという不安があったので、タイミングを見ていました。やるなら、唯一の特技ともいえる「激辛」をやっていきたいというのもあり、授乳が終わったタイミングで動くことにしたんです。

――「激辛は外せない」と?

鈴木:はい、そこはもう絶対に! やるからには、視聴者のみなさんに楽しんでもらいたいと思っていて。私が得意としていることで面白くできるのはやっぱり激辛じゃないかな、と。そこからコメントとかで「もっとこれやってほしい」っていう求められる声があれば「あ、やってみよう」って感じになるので、どんどん応えていけたらいいなと思っています。まずは、肩の力を入れ過ぎない状態で始めていきたいっていうのがありました。


――逆に「こういうリクエストは、ちょっと大変そうだな」という企画はありますか?

鈴木:やっぱり「ちゃんとしなきゃ」って身構えてしまうのは……歌ですね。一応、本業というか、歌手やってたというか(笑)。どのくらい本気で、どのくらいバラエティとして見せていいのかっていう加減がつかめなくて。歌手の方が本気で「歌ってみた」も見応えがありますし、YouTuberさんたちが面白く「歌ってみた」をしているのも楽しんですが、「じゃあ、私はどの感じでいこう?」と、ちょっと真面目に考えてしまうんですよね。なので、もし「歌ってみた」動画を上げるなら……まずは『アンパンマン』の歌とか、みんなで歌えるような曲がいいですね。見てくださっている方の中に、小さなお子さんやママさんたちがいれば一緒に歌う気持ちで撮れそうだなって(笑)。

――お好きだったYouTubeに、ご自身で動画をアップされるようになってみていかがですか? 

鈴木:やっぱり見るのとやるのとでは違いますね。これまでたくさん動画を見ていたので、「もっとこうしたい」「こんな動画を撮りたい」「なんかちょっと違うなー」って、撮影しながら理想とのギャップを感じています(笑)。YouTubeって、テレビチャンネルと一番違うのは、自分をプロデュースできる部分だと思うんです。「つまんないな」って思われるのが一番悲しいことなので、やるからにはどこかブッ飛んでいたいですし、面白いものを発信していきたい気持ちが強くあります。なので、今は技術面をサポートしていただいているんですけど、いずれは自分が納得するものを目指しながら、どんどん親近感を持っていただけるような内容にしたいですね。

――撮影や編集にもトライしていこうと?

鈴木:はい。すごく興味があるんですけれども、なにせアナログ人間なもので(笑)。でも自分で撮影ができるようになれば、一番見せたいところにもこだわることができますしね。100%自分で手掛けていくのが目標ですが、今はそこに向かって勉強しながら経験を積んでいる感じですね。

「“怒られないかな?”って毎回ドキドキしながら発信しています」

――YouTubeというメディアの盛り上がりによって、演者兼制作者の視点を持ったエンターテイナーたちが多く活躍されていますが、そうしたエンタメの世界の変化を感じていらっしゃいますか?

鈴木:もちろん実感しています。本当、大変ですよね(笑)。私がデビューしたのは1990年代で、演者は演じることに徹していればよかった時代でした。そこから比べたら今は境目がないですよね。演じ手と作り手という意味でもそうですし、芸能人と一般人という境界線もほとんどなくなりました。自主的に技術を習得して、YouTubeやSNSを使って、どんどん発信している。それぞれが時代を作っていってる時代になったと思います。

――デビューのきかっけとなったオーディション番組『ASAYAN』も、当時としては芸能界が一般視聴者のところまで“開かれた”という新しい印象がありました。

鈴木:そうですね。誰でもオーディションを受けられましたし、電話投票など自分たちが参加しているんだと思えるコンテンツもありましたもんね。テレビと一般視聴者との近さを感じられる番組だったので、そういう意味では当時の最先端だったかもしれません。そこに対して今はマスメディアさえも通さずに日々スターが生まれていますからね。変化の激しい時代に、置いていかれないようにしないとなって思っています(笑)。

――そんな芸能の世界の変化に対して、最も適応が難しいなと感じている部分はありますか?

鈴木:何をどこまで見せていいのか、というところですね。以前のエンターテインメントは、ステージとプライベートという境目もハッキリしていたので。どちらかというと演者のプライベートは「見せなくていいもの」という世界観だった感じがしていて。それに対して今は、飾らないプライベートな部分でもファンを魅了していくスターが増えているというか。人間味のある一面が人気につながっているところがあるので、「見せる」「見せない」のバランス感覚が絶妙だなと感じています。


――特にアーテイストの場合は、少しミステリアスなところが魅力として映っていたところもありましたね。

鈴木:そうですね。業界全体の認識として「見せる部分」は、ちゃんとイメージとして作り上げてきた印象があります。例えば、雑誌のインタビューで「プライベートでジムに行っています」という話をした場合、“ジムに行っている風”の写真を撮影していたんですよね。でも今は、実際にジムに行ってトレーニングして、クタクタにへばっているリアルな姿を動画で見せていく時代になっちゃったなって(笑)。

――たしかに「イメージよりもリアルが見たい」という声は強くなったかもしれません。

鈴木:私自身プライベートを出していくことに抵抗はないんですけど、難しいですよね。「親近感が沸きました」ってコメントを見ると、もっとヨレヨレの部屋着姿とかで出たほうが喜ばれるのかな、なんて思っちゃったりして(笑)。もともとの感覚がまだ残っているので、「これアップして大丈夫かな?」「マネージャーさんに怒られないかな?」って毎回ドキドキしています。だから今はいろんな人の動画を見ながら「ここまで出して大丈夫なのか」って、参考にしながら学ばせてもらっている状態ですね。

――明確なガイドラインはまだないですからね。

鈴木:そうですね。子供の顔や名前を出すか否かもやっぱり賛否両論ありますけれど、いろんな人の考えや作品を見ながら、自分の中で「こうしていこう」という軸をしっかり持っていくのが大切なんじゃないかと思うようになりました。いずれも100%の答えがないんですよね。

「40歳から、どこまで人は成長できるのかも見せていけたら!」


――現在、メインで発信している激辛動画以外にもアーティストとしてのプライベート動画はもちろん、ママとしての子育て動画……と、様々なコンテンツが発信できそうですね。

鈴木:インスタもやっているのですが、フォローしてくださっている方の多くは同世代の女性のみなさんなんですよ。私のことを同じママとして見てくださっている方が多いのを感じています。子供にどんなものを食べさせているのか、どういうところに遊びに連れて行っているのかに興味を持ってくださっているのを感じているので、私も普通のママの感覚で動画を作っていけばいいんだなとは思っています。

――今も料理のシーンは丁寧に撮影されていますよね。

鈴木:最終的には激辛になってはいますけど(笑)。辛い調味料を入れるまでの工程は、時短テクニックだったり、旨味をプラスするアイデアだったり、一つでも「参考になったな」と思えるような要素は入れていきたいなって思っているんです。もともと私が激辛に覚醒したのも「味変」がきっかけで。ちょっと工夫する面白さが料理にはありますよね。

――ちなみに、激辛にめざめた瞬間というのはあったのですか?

鈴木:もう、ハッキリとおぼえています。10歳のころでした。土曜日のお昼に、よくインスタントラーメンを自分で作って食べていたんです。でも、いつもの味に飽きてしまい、何か味を変えたいなと自分で冷蔵庫を探して豆板醤を入れてみたんです。

――10歳!

鈴木:はい(笑)。最初は恐る恐る入れていたんですが、「この量大丈夫だ」っていうのを繰り返していって。「味変って楽しい! 辛いのを入れると美味しい!」ってなったんですよね。そこからは豆板醤だけじゃなく、お酢を入れたり、生姜も、にんにくも……って、量が増えていったって感じですね。


――ご家族にも激辛好きがいらっしゃったんですか?

鈴木:いえ、まったく。なので、母からはいつもツッコまれていましたね。中学生くらいになったときに、近所のラーメン屋さんで1辛、2辛ってできて。友だちと遊び半分でMAXの10辛を食べてみようってなったんです。友だちはヒーヒー言って食べられなかったのに、私は食べきることができて。「やった、勝った!」って楽しさがヒートアップした感じはありました。ピザにどれだけタバスコをかけられるかとか。

――食がエンタメになっていったんですね(笑)。

鈴木:はい。美味しくて、楽しくて、面白くて、しかもタダで汗がかけて、ダイエット効果もあるなんて最高だと思いました!

――今まで激辛で失敗したことはないんですか?

鈴木:ほとんどないですね。10代のころはまだ自分の限度がわからなくて、「あ、ちょっとお腹痛いかも」ってことはありましたけど。レベルをちょっとずつ上げて、鍛えられているので今は全くそういうことはないです。

――過去、一番辛かったという思い出はありますか?

鈴木:すごいなと思ったのは、辛麺屋『一輪』さんのラーメンですね。当時“とんでもねぇ”っていう名前の辛さレベルがあって、それは本当に“とんでもねぇ”辛さだったのと、ドロドロ具合もすごかったので、お酢を入れて食べやすくして制覇しました(笑)。

――やっぱりイチオシの激辛アイテムはデスソースですか?

鈴木:そうですね。もともとタバスコの味がすごく好きなのと、そこにさらに辛さと風味を加えたのがデスソースになっているので。辛いだけじゃなくて、美味しさがちゃんとある料理にも使いやすいんですよね。辛さのレベルでいったらカプサイシンソースとかのほうが直接的なんですけど、やっぱりおいしく食べたいので。辛い料理って、刺激の強さばかりが注目されがちですけど、ちゃんとおいしいことが大事なんですよ。なので、いつか自分でオリジナルのスパイスを作ってみたいんですよね。その夢を実現するまでを『あみーゴTV』で発信していけたらなと。

――これだけ辛いものへの愛情があれば素敵な商品プロデュースができそうですね。

鈴木:こんな唐辛子のTシャツを作っちゃうくらいですからね! 実はこれ、2年前くらいに作ったんですよ。『あみーゴTV』が生まれる前に、「激辛で何かをしたい!」という気持ちが先走って、うちわも作ったんです(笑)。コメント欄でもたくさん辛い料理のお店とか教えていただくので、コロナが落ち着いたらいろんなところに行ってみたいですし、いろんなお店とかメーカーさんとかも巻き込んで『あみーゴ激辛フェス』みたいなものもできたら楽しそうだなって考えています。


――辛いもの好きとしては、今から楽しみです!

鈴木:ありがとうございます! 自分が楽しみながら、自分で見ても面白いものを、自分の手で作っていくことがYouTubeの良さですよね。好きなものが同じ方に満足してもらえる内容の動画を出していきたいなって思います。

――先ほどもご自身で「いつか編集を」とおっしゃっていましたが、その学ぶ姿もコンテンツになるのがYouTubeですもんね。

鈴木:そうですね。YouTubeに関しては本当に私はイチ素人なので。どんな機材を使って、どんなところを注意して編集すればいいのかを教わりながら、40歳からどこまで成長していけるのかを見せていくことができるのも面白いかも。それやります(笑)! きっと「どんどん時代が進んじゃって困る」っていう同世代の方もいらっしゃると思うので、一緒に学んで、一緒に作れるようなチャンネルになっていったら嬉しいですね。

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