ヒカルの地上波特番が意味するものとは? Guild高橋将一が語る「テレビとYouTuberの関係」

『WinWinWiin』に続くリッチコンテンツも制作中

ーー新型コロナウイルスの感染が拡大してから約1年、広告収益も含めて、Guild社まわりの状況はどうなっていますか。

高橋:クリエイティブでストーリーを作れる、という強みが周知されてきたのが大きく、Guild自体の売り上げは上がっています。一方で、クリエイターサポートという観点からすると、チャンネルが増えすぎて大変にはなっていますね。YouTuberが増えて戦国時代になっていますし、しかも外での撮影がしづらく、家でどんな動画を撮ればいいんだ、という状況。広告の営業はうまくいっていて、制作の方が大変になっている、というイメージです。

ーーGuild社はいわゆる芸能プロダクションのような包括契約という仕組みではなく、エージェントとして各クリエイターに必要なサポートをしていますね。

高橋:そうですね。営業、MCN、バックオフィス、ファンクラブなど、事業ごとに会社を分けていて、制作においてはテレビのメジャー番組を手掛けているチームを持っているので、リッチコンテンツにも対応できます。チャンネルの全体的な方向性についてのコンサルティングはしていますが、マネジメントはしていない。そのなかで、クリエイターへの金銭的な負担を減らしながら、多くのチャンネルを手掛けられる、ということもあります。

ーー2021年に入ってからも、一部YouTuberが問題を起こすケースが見られますが、そのときにプロダクションは責任を問われることになります。エージェントとしてチャンネルに関わっているGuildにおいては、危機管理をどう捉えていますか。

高橋:単純にビジネス上のリスクと捉えた場合に、僕たちが責任を負うとしたら、営業の部分が一番大きいと思います。例えば、特定のチャンネルと年間契約を結んだクライアントさんがいたときに、そのYouTuberが問題を起こせば、代理店として責任をとる必要がある。もちろん、コンプライアンスや炎上対策などを伝えることはありますが、個別の炎上について責任を負うことはありません。一方で、クリエイターからするとうちに所属しているわけではありませんから、「Guild所属」と名乗ることはなく、会社が有名になることもない。ですから、クリエイターにおいても、広告クライアントにおいても、紹介の紹介、口コミで広がっているという感じです。わかりやすく言えば裏方専門で、チャンネルに色が出ることもないので、こっそりチャンネルの質を高めたい芸能プロダクションの方から相談を受けることも増えています。


ーー『WinWinWiiin』のスポンサーになっているテックキャンプ社の“マコなり社長”が「UNCOMMON」という新サービスの発表で炎上しましたが、例えばこちらについては、リスクマネジメントという意味でどう考えられるでしょうか。

高橋:マコなり社長とは『WinWinWiiin』をきっかけにお会いしましたが、非常に真面目で細やかな性格の人なんです。そもそも成功者として叩かれやすいなかで、「UNCOMMON」についてはその説明に言葉足らずの部分があったのが問題だっただろうと。叩いている人の大半は広告を見ただけの人であって、きちんと言葉を尽くして説明すれば、理解できるという人も少なくないと思います。「体験商材」という言い方をしていますが、この言葉に警戒心を持つ人は多いでしょうし、実際にレクリエーションしている様子を動画でもっと伝えていけば、全然違ったはず。サービスの内容というより伝え方の問題なので、そのあたりのアドバイスはしていきたいですね。

ーーさて、『WinWinWiin』も好評が続いており、第4回目のゲストがヒカルさんだと発表されていいますが、制作は順調に進んでいますか。

高橋:中田さんがシンガポールに移住する関係上、新型コロナウイルスの影響で日本との行き来が難しくなる可能性があるので、頑張って撮り溜めをしています。もし中田さんの出演が難しくなり、制作が滞るようなことがあれば、YouTubeの分析なら中田さんに負けないプレゼンテーションができるヒカルさんに代役を頼む、ということはありえるかもしれません。

ーー宮迫さんが明石家さんまさんにゲスト出演を直談判した、という話もニュースになりました。

高橋:そうですね。さんまさんは最終目標に近いです。西野さんも山本さんも出演してくれていますし、中田さんとともに退社した藤森慎吾さんも、相変わらず吉本芸人とのコラボを続けていることからもわかるように、世の中で言われるような「吉本興業が共演NGを出している」というようなことはありません。あとはご本人次第、というところですね。

ーー今後、『WinWinWiin』に続くリッチコンテンツとして準備している企画はありますか。

高橋:多くの企画が進行しています。現段階でオープンにできるものだと、朝倉未来さんが「夢」として立ち上げた、若者の夢を叶えるリアリティーショーもそうですし、宮迫さん、手越くん、ヒカルさんが動画でもやりたいと語っている旅番組など。旅番組はコロナ禍がどうなるかで収録時期が変わりますが、「地方活性」をテーマにお金を落とすものにしようと話していて。まずは特番的に、それぞれのチャンネルで動画を展開すると思いますが、シリーズ化できれば新しくチャンネルを作るかもしれません。あまりネタバレをすると面白くないので、それ以外の大型企画については、公開を楽しみにしておいてもらえればと。

■赤石晋一郎
あかいし・しんいちろう。南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。講談社「FRIDAY」、文藝春秋「週刊文春」記者を経て、ジャーナリストとして独立。日韓関係、人物ルポ、政治・事件、スポーツなど幅広い分野の記事執筆を行う。近著『韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち』(小学館新書)。
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