Apple製VRヘッドセット、8K画質で30万円超え? 目指すは「VRヘッドセット市場のHoloLens」

 既報のように、Appleは2022年のリリースを目指してVRヘッドセットを開発していると見られている。この噂に関して、新たなリーク情報がもたらされた。そのリークによると、同社はVRヘッドセット市場のなかでも相対的に小さいセグメントへの参入をねらっているようだ。

装着感はAirPods Maxライク?

 Apple製品ニュース専門メディア『9to5Mac』は4日、Apple製VRヘッドセットに関するリーク情報を報じた。このリークはテック系メディア『The Information』の記事にもとづいており、そのソースは同ヘッドセットに関する「直接的な知識がある人物」とされている。

 リーク情報によれば、同ヘッドセットには2つの8Kディスプレイが実装される。アイトラッキング(視線追尾)技術も使われ、ユーザの視線が集まる箇所のみを高精細に描画し、それ以外の箇所の画質を抑制することによって描画処理の負荷を軽減するようだ。

 さらに手の動きもトラッキングし、現実世界をディスプレイに表示するために12台のカメラも実装される。こうした仕様からハンドジェスチャーや、MR(Mixed Reality:複合現実)体験にも対応すると推測される。

 同ヘッドセットのデザインには、メッシュ素材と交換可能なヘッドバンドが使われる(トップ画像参照)。そのため、装着感は同じくメッシュ素材を使っているAirPods Maxに似ているかも知れない。

 以上のようなハイスペックかつ多機能なため、価格は3,000ドル(約32円)程度になると言う。この価格設定は、現在のVRヘッドセット市場における主要な製品であるOculus Quest 2よりは、Microsoftが法人向けに販売しているARヘッドセットであるHoloLensに近い位置づけになる。

 その価格設定から明らかに法人向けを意識しているApple製VRヘッドセットの想定される用途はリモートコラボレーション、VRトレーニング、そして商品をバーチャルに提示するバーチャルセールといったことが挙げられ、ゲームアプリが開発される可能性も示唆されている。

クリーンルームにも対応するHololens 2

 Apple製VRヘッドセットのブランディングに影響を及ぼしているかも知れないHoloLensは、現在では第2世代の「HoloLens 2」が主力製品となっている。同製品の販売ページを見ると価格は422,180円となっており、「在庫切れ」という表示もある。

 HoloLens 2の公式サイトで目をひくのは、法人が同製品を導入した事例を紹介する「ソリューション」ページだ。そのページを見ると、医療教育、メーカーにおける開発業務といった応用事例が確認できる。そうした事例のなかには、同製品とヘルメットが一体化した「Trimble XR10」もある。この製品は、建設現場での使用が想定されている。

 Microsoftは2月1日、「HoloLens 2 Industrial Edition」を発表した。このバージョンは半導体工場や製薬研究での利用が想定されており、こうした現場に求められる厳しい要求を満たしている。具体的にはクリーンルームでも使用可能であり、業界の安全基準も満たしている。同バージョンの価格は542,800円であり、予約を受け付けている。

 以上のようにHoloLensシリーズは一般消費者が買うには高額でありながらも、法人向け製品として着実に普及しているのだ。

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