Facebookのデータから、メンタルヘルス予測を可能にするアルゴリズム

 先日、Facebookのメッセージやタイムラインのデータから精神疾患を予測できるという研究が発表された。

 過去にFacebook、Twitter、Redditへの投稿などから精神疾患やADHDを診断するという研究は今までにも行われてきたが今回の研究が画期的であり他の研究と異なる点として、研究対象とされたボランティアたちが皆、専門医から精神疾患を診断されていたことが挙げられる。従来の研究では精神疾患の診断にインタビューなどを通した自己申告やうつ病診断の質問紙などを利用し自己診断に任せていた。これらの診断は信憑性が低く、実際の投稿の内容やデータとの 相関関係を構築することが難しいとされ現場での利用まではまだまだ道のりは長いと思われていた。

 223人のボランティアたちは、研究者たちのFacebookメッセージと投稿両方にアクセスを許可した。AIのアルゴリズムを利用しメッセージ内容や投稿の写真や文章などから、躁鬱やうつ病を含む気分障害、統合失調症か精神疾患が見られないという三つの結果に集中し予測を行なった。AIのアルゴリズムの成功率を図る際、偽陽性と偽陰性が同時に存在しない1を最高点とし、0.5をランダムに推測したものとする。今回の研究では0.65-0.77というスコアを記録した。また、これらの予測はボランティアたちが実際に精神疾患と診断される18ヶ月前のデータを分析していたことからアルゴリズムの予測はかなり的確だと言える。

SNSは私たちを助けることができる?

 このような試みは精神疾患が増える中、精神科医やカウンセラーのコストがかかる現代社会で大いに活躍する可能性がある。現在、世界中で20%がなんらかの精神疾患を患っていると言われており、様々な要因があるなかでこれらを早期発見することは難しく気づかないまま長い年月が経ち重症になってから発見される場合がほとんどだ。

 精神疾患となるとその早期発見の重要性は癌や他の病気などに比べあまり早急性を問われていないのが現状であるが、精神疾患の早期発見はその後の症状の悪化や自傷行為の予防などに大きく貢献することが様々な研究からわかっており、精神疾患における予防分野にもっと取り組んでいく必要性がある。その中でもFacebookなどのSNSは個人の利用パターンや動きをデータとして蓄積しているのでこれらをAIのアルゴリズムを活用し客観的に分析していくことで個人自身も気づかない精神疾患の初期症状などを発見していくことができる。

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