米国でリモートワークに賛否 生産性向上も「経済都市の解体」招く可能性

 マイクロソフトの共同創業者、ビル・ゲイツ氏は、新型コロナウイルス流行前から、“柔軟な働き方”の重要性を主張してきた。賛否両論あるリモートワークは、生産性や費用対効果といった我々の想像する懸念を超えて、社会に大きな影響を与えている。

ゲイツ氏「柔軟な働き方こそ最大の恩恵」

 ゲイツ氏は以前から、「社員にとって最も大きな恩恵となるのは、企業が柔軟性のある働き方を提供することだ」と主張してきた。

 米メディア『Inc.』の記事によれば、最新のハーバードビジネススクールによる研究も、ゲイツ氏の主張を裏付けている。同スクールのPrithwiraj Choudhury教授は、米国特許商標庁の一部の特許審査官に対して、いつでも、どこでも好きなときに作業することを許可し、オフィスに出社している審査官とのパフォーマンスを比較した。その結果、柔軟な働き方を許可された審査官の生産性は4.4%高くなり、出社した審査官とまったく同じ作業を行うことができたという。同研究は、「いつでも、どこからでも働くことを許可することで、従業員の忠誠心と生産性が高まり、費用対効果も上がった」と結論づけている。

 Choudhury教授は、自宅での作業に限定するのではなく、“どこからでも”働くことを可能にすることでこの結論を導き出した。同氏は、「以前の研究では、労働者に時間的な柔軟性を与える『リモートワーク』の生産性に焦点をあてていたが、“どこからでも”はその一歩先を行き、時間的、および地理的柔軟性の両方を提供する」と説明している。

JPモルガンはリモートワークにより生産性が低下

 対して、米大手金融のJPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)は、9月21日までにリモートワークの従業員をオフィスへ呼び戻すと発表した。

 米メディア『Bloomberg』によると、JPモルガンのCEO、ジェイミー・ダイモン氏は、リモートワークによって多くの社員の生産性が低下したと述べたという。特に、月曜日と金曜日の仕事に影響があると言い、加えて「若手社員はリモートワークによって、学習機会が失われ、不利になる可能性がある」としている。

 しかし、JPモルガンはリモートワークを採用した2020年前半に、過去最高のトレーディング収益を記録した。昨年の第2四半期から79%増加し、97億ドル(約1兆208億円)の利益となった。それでも同行幹部らは、対面によって生まれるやりとりや信頼関係こそが、さらなる成功への重要なファクターだと信じているようだ。

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