“メトロイドヴァニア”の王道『Bloodstained: Curse of the Moon 2』発売 人気シリーズの未来にファンが期待すること
2020年7月10日、インティ・クリエイツ開発・発売のアクションシリーズ『Bloodstained(ブラッドステインド)』から、『Bloodstained: Curse of the Moon 2(ブラッドステインド:カース・オブ・ザ・ムーン 2)』がリリースされた。一部のコアゲーマーから熱狂的な支持を集める同シリーズ。待望の最新作発売を受け、日々睡眠時間を削りながらプレイしている方も多くいるはずだ。
『Bloodstained』シリーズとは、いったいどのような作品群なのか。概要から前作・最新作の違いまでを踏まえ、シリーズの未来にファンが期待することを考えていく。
『Bloodstained』シリーズとは
『Bloodstained: Ritual of the Night』紹介映像
『Bloodstained』は、2D横スクロール型のアクションシリーズだ。2015年、ゲームプロデューサーの五十嵐孝司を中心にプロジェクトがスタート。これまでに『Bloodstained: Curse of the Moon(2018年)』『Bloodstained: Ritual of the Night(2019年)』『Bloodstained: Curse of the Moon 2(2020年)』の3作が発表されている。
このうち本編となるのは2作目『Bloodstained: Ritual of the Night』で、『Curse of the Moon』の冠された初作・第3作はスピンオフ作品という位置づけ。「現代風の美麗なグラフィックと壮大な音楽」「オープンワールド的な自由な探索」が特徴の本編に対し、スピンオフ2作は、「2D横スクロールアクションが全盛だった時代を思わせる、8bit風のレトロなグラフィックと音楽」「ステージクリア型のシンプルなゲーム性」を特徴とする。共通の世界観を持つシリーズ作品ながら、両者には明確な違いが存在している。
『Bloodstained: Curse of the Moon』紹介映像
シリーズの舞台となるのは、中世ヨーロッパの雰囲気が漂うダークファンタジーの世界。この世界でプレイヤーは主人公としてフィールドに降り立ち、戦いに身を投じていくことになる。
先に紹介したように、本編とスピンオフのあいだでやや毛色が異なる『Bloodstained』シリーズの作品たちだが、一方で両者には一貫する特徴もある。“ゲームとしての面白さを忘れない”という点だ。
本編となる第2作『Bloodstained: Ritual of the Night』は、キャラの成長要素や豊富な武器種、アイテムのクラフトなどをシステムへと取り込み、圧倒的な自由度によって“凡庸な2D横スクロールアクション”からの脱却に成功した。シンプルなゲーム性を特徴とする初作『Bloodstained: Curse of the Moon』にもこうした“イズム”が吹き込まれており、同作は古き良きゲームカルチャーの楽しさ・素晴らしさを体感できる稀有のタイトルとなっている。
プロデューサー・五十嵐孝司について
プロジェクトの中心人物である五十嵐孝司は、1990~2000年代に活躍したゲームプロデューサー。『2D横スクロールアクション』の文脈で彼の名前を出すとき、絶対に紹介しておかなくてはならないのが『キャッスルヴァニア(悪魔城ドラキュラ)』シリーズの存在だ。
五十嵐孝司は90年代以降、当時在籍していたコナミにおいて、継続して『キャッスルヴァニア』シリーズの制作へと携わっている。同シリーズは『2D横スクロールアクション』の始祖のひとつと言われ、海外を中心にこのジャンルを『メトロイドヴァニア』(任天堂の『メトロイド』、コナミの『キャッスルヴァニア』という、ジャンルを代表する2つのシリーズからつけられた通称)と呼ぶケースも多い。『Bloodstained』が属する『2D横スクロールアクション』のジャンルでは、五十嵐孝司こそが草分けの一人となっており、彼の制作する『キャッスルヴァニア』タイトルは、リスペクトを込めて『イガヴァニア』とも呼ばれている。
そんな彼が現代に送り出す『2D横スクロールアクション』シリーズは、ゲームカルチャーを考える上で実に意義深い。まさに送り出されるべくして送り出された名作が『Bloodstained』シリーズなのだ。