コロナ禍に適応した『ガルバ』と『PUBG MOBILE』ーーTwitter活用したゲーム業界の取り組みに迫る

『ガルバ』と『PUBG MOBILE』が見せた“コロナ禍”における対応

 ミーティングではゲストスピーカーとして、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下、ガルバと略記)など展開する株式会社Craft Eggのマーケティング室長の齋藤隼一氏と、『PUBG MOBILE』を展開するPUBG JAPAN株式会社のマーケティングチームリードの國方大輔氏を迎えて、古屋氏が尋ねる4つの質問に両氏が答えるという一幕もあった。

 1つめの質問は、コロナ禍により業務にどのような変化が生じたか、というものだ。國方氏は、『PUBG MOBILE』はもともと中国企業TENCENTと共同開発していたので、リモート会議の習慣が定着していた、と答えた。また、リモート開発体制に速やかに移行できたので遅延は生じなかった、とも述べた。齋藤氏は、リアルライブとのリンクが魅力となっているガルバの当初のイベントスケジュールの見直しを余儀なくされた、と答えた。しかし、コロナ禍であっても、諸々のKPI達成目標を下方修正することはしなかった、とも語った。

 プロモーションへの影響を尋ねた2つめの質問に対しては、國方氏は5月のメジャーアップデートに合わせてオフラインのeスポーツ大会を予定していたが、オンラインイベントに変更して開催したところ盛り上がった、と回答。齋藤氏は、ガルバはバス広告等の屋外広告を重視していたが、テレビ広告に予算を大きく割り振ることにした、と答えた。また、広告よりコンテンツ配信に注力した、とのこと。

 3つめのコロナ禍における反響のあった施策に関する質問では、齋藤氏によると、緊急事態宣伝以降ガルバに関連したプロモーションを多数実行したのだが、話題になったのが緊急事態宣言解除後の6月2日に行った花火大会であった。このイベントには、非常にポジティブな反応があった(下の画像参照)。國方氏は、『PUBG MOBILE』日本リリース2周年を記念して、同ゲームのファンにして有名プレイヤーでもあるGACKTとのコラボ企画を挙げた。当初はオフラインイベントとして開催する予定であった同企画はGACKTがリモート出演する内容に変更されたのだが、Twitter Spotlightでも展開して成功を収めた(下の画像参照)。

 最後にTwitterをプロモーションに使う秘けつを尋ねたところ、國方氏と齋藤氏の両氏とも一定の時間軸でターゲットとするプレイヤーの盛り上がりを評価するべき、と答えた。つまり、瞬間的なツイート数の増加を目指すのではなく、一定期間展開するプロモーション活動全体で徐々にツイート総量を増やすようにするのが望ましい、ということなのだ。

 國方氏と齋藤氏の回答に共通しているのは、コロナ禍によって諸々の大きな変更を余儀なくされる状況にあっても、ゲームコミュニティを重視した新しい施策を打ち出したところだ。そして、Twitterはゲーム運営企業とゲームコミュニティをつなぐメディアとして機能したのである。

 今回開催されたTwitter Japan主催イベントは、コロナ禍の終息が見通せない現状において、Twitterはゲーム業界を盛り上げるうえで不可欠なツールであることを再認識させた内容であった、と言えるだろう。

トップ画像出典:Twitter Japan株式会社作成資料「Twitter×ゲームで見る、COVID-19影響下の新しい消費行動」より画像を抜粋

■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi

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