Googleがターゲット広告に制限加える Facebookに続き、差別是正に向けた取り組みも
インターネット広告大手のGoogleは、住宅・雇用・クレジットのターゲット広告に制限を加える方針を発表した。これは、同様の問題で提訴されたFacebookに追随する動きだ。
性別、年齢、子供の有無、配偶者の有無、郵便番号に基づくターゲティングを禁止
Googleはブログ上で、広告ポリシーの今後の更新について報告した(参考:https://www.blog.google/technology/ads/upcoming-update-housing-employment-and-credit-advertising-policies/)。
同ブログによると、住宅・雇用・クレジットの広告で、性別・年齢・子供の有無・配偶者の有無・郵便番号に基づく広告のターゲティングや除外が禁止される。不当な差別行為からユーザーを保護するために、以前から禁止されていた民族性・性的指向・国籍・障害によるターゲティングに、新たにこれらの条件が追加されることとなった。
この新たなポリシーは、米国住宅都市開発省(HUD)の協力の下に策定したもので、パンデミックによる混乱はあるものの、遅くとも2020年内には米国とカナダで適用されるという。
Facebookは、公正住宅法違反で提訴された
Googleのポリシー変更は、競合するFacebookが、2019年に公正住宅法違反で米国住宅都市開発省に提訴されたのを受けてのことだ、と『CNN』は報じている(参考:https://edition.cnn.com/2020/06/11/tech/google-housing-ads-policy/index.html)。
Facebookは、ターゲット広告に関連する複数の訴訟の和解のために500万ドル(約5億円)近くを支払ったとされる。
多民族国家のアメリカは「人種のるつぼ」あるいは「人種のサラダボール」と呼ばれ、特定の民族や人種が居住している地域がある。また、貧富の差が大きく、豪邸の立ち並ぶ地区もあれば、低所得者層が肩を寄せ合って暮らす貧民街も存在する。
住宅や雇用といった、生活する上で欠かせない情報が、貧富や人種の差に関係なく、届けられるようにすべきだというのが、当初Facebookに対する反対運動をを展開したAmerican Civil Liberties Union(ACLU)等の人権団体の主張だ。
個人データとプライバシー保護という広告の課題
広告は、ターゲティングやパーソナライズをすることで、必要な人に必要な情報が表示されて、ユーザーエクスペリエンスが向上する。また、広告主側としても効率が向上し、収益も向上する傾向がある。これは、win-winの状態と言うこともできるが、もちろん危うさもはらんでいる。
インターネット上で、様々なデータが収集可能になってきているが、一体どこまでターゲティングやパーソナライズをしてよいかという議論は、今現在も続いている。
年齢、性別、居住地域といったデモグラフィック、興味・関心、インターネット上の検索結果といったインターネットユーザーのデータが収集されていることは、よく知られている。それ以外にも実は、コンテンツ、デバイス、位置情報でもターゲティングが行われている。