『テラスハウス』東京編:第37~40話—— 多様性を排除する嫌な空気が蔓延している

多様性を排除する嫌な空気

 快と花のハグのドラマについては少し美化しつつ振り返ってみたが、この数週間のテラスハウスにはなんとなくずっと嫌な空気が蔓延していたことに視聴者は気づいているだろう。社長が快と花のデートに「ジョインする」と言った瞬間から、さまざまなものが音を立てて崩れ去っていった。

 元を辿れば、水族館デートというのは快が花のために企画したものであり、最初はふたりで行くつもりだった。しかし、社長との会話のなかでダブルデートもありだよねという空気になり、気づいたときには社長が権限を握っていて京都へ水族館旅行をすることになる。快に関しては、スタンダップコメディで行き詰まっていることもあって一度は旅行をキャンセルしたいとまで言うものの、社長の説得により結局敢行。それで「テンションが低い」「お金は出そうとしない」と散々に言われ、その際の悪い印象が“コスチューム事件”にまでつながってしまう始末だ。ただ楽しく花と水族館デートができればよかった快が、最終的にテラスハウスの環境に適応できず排除されてしまう。

 相手のことを本当に考えているのかわからない、「社長のジョイン(正面突破)」がもたらす悲劇。夢へと強引にキスを迫る異様な姿にも、結局同じことが言えるのではないだろうか。無期限の配信休止になってしまったテラスハウスだが、このドロドロの人間ドラマに食傷気味な視聴者にとっては、いいリフレッシュ期間になるかもしれない。

■原航平
1995年生まれ、映画好きのライター。「クイック・ジャパン」などでも執筆。
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■番組情報
『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』
2019年5月14日よりNetflixにて毎週火曜に新エピソード先行配信(4週に1週休止)
2019年6月11日よりFODにて毎週火曜深夜0時に配信予定(4週に1週休止)
2019年7月よりフジテレビにて、地上波放送予定
(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

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