Apple TV+は低価格が脅威、Apple Arcadeは『No Man's Sky』に期待? 海外メディアの評価とは

 日本時間9月11日未明に行われたAppleのスペシャルイベントでは、恒例の新型iPhoneシリーズの発表に加えて同社のストリーミングサービスの詳細が明らかになった。その内容を見る限りでは、新型iPhoneシリーズよりは驚きのあるサービスのようだ。

月額料金はどちらも600円

 発表されたAppleの動画ストリーミングサービス「Apple TV+」の内容は、同社公式サイトでまとめられている。そのウェブページによれば、同サービスは11月1日から開始し、7日間の無料トライアル後に月額600円で利用できる。iPhone、iPad、Mac、Apple TVから利用でき、視聴時にはApple TVアプリを起動する。

 同サービスには多数のオリジナルコンテンツが用意されている。アメリカの朝のニュース番組の舞台裏を見せるドラマ『ザ·モーニングショー』、600年後の未来においてウィルスで人類の10分の1が死滅し、残された人々も盲目になってしまった世界を描いたジェイソン・モモア主演の『See ~暗闇の世界~』が一押しのコンテンツだ(下の動画参照)。宇宙飛行士になるという夢を追いかけるスヌーピーが登場する『スヌーピー 宇宙への道』や不思議な幽霊と4人の子供たちの交流を描く『ゴーストライター』のようなキッズ向けコンテンツもある。

YouTube「SEE – Official Trailer | Apple TV+」

 また『Apple Arcade』の内容をまとめた公式サイトによると、同サービスは9月20日から開始し、1ヶ月間の無料トライアル終了後は月額600円で利用できる。対応デバイスはiPhone、iPad、Mac、Apple TVで、対応デバイス間ではゲームデータを引き継げるクロスプラットフォーム対応となっている。ひとつのサブスクリプションで6人まで利用可能であり、ゲームをダウンロードすればオフラインでもプレイ可能だ。

 プレイできるゲームには、パックマンが登場するバンダイナムコの『PAC-MAN Party Royale』、スクウェア·エニックスが手がけたRPG『VARIOUS DAYLIFE』といった有名ゲームパブリッシャーのゲームから、パズルゲーム『Where Cards Fall』やアドベンチャーゲーム『The Pathless』といったインディーズゲームもある(下の動画参照)。

YouTube「Apple Arcade “The Pathless”– Apple offical」

 

発表後ライバル株は下落

 Apple TV+に関しては、いくつかの海外メディアが同サービス登場による動画ストリーミングサービス市場への影響に言及している。US版『Engadget』が11日に公開した記事は、同サービスは開始時点から対応デバイスが世界に大量にあり、なおかつ月額料金が競合サービスに比べて低価格なため「真の競争相手」になる、と評している。ちなみにライバルのNetflixの最低月額料金は800円であり、Amazonプライム ビデオは年会費4,900円と低価格なものも視聴するのに別途追加料金を支払う必要のある動画を含んでいる。また、11月からアメリカでサービス開始するDisney+は、月額6.99ドル(約750円)である。

 US版『CNET』は、Apple TV+がオリジナルコンテンツの制作に注力するのは、魅力的なオリジナルコンテンツを揃えることによってiPhoneをはじめとした対応デバイスの販売を促進する狙いがある、と分析している。この分析は、対応デバイスを購入すると同サービスが1年間無料になることからも妥当なものと言えよう。

 US版『Yahoo FINANVE』の記事によると、Apple TV+発表直後にNetflix株とDisney株がそれぞれ2%下落した。投資会社WedbushのアナリストDan Ives氏は、Apple  TV+登場の衝撃を「弓から放たれた大きな一撃」と表現している。もっとも、同サービスのオリジナルコンテンツはまだ少数であることから、一部のアナリストは動画ストリーミングサービス市場への影響は限定的と見ている。

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