YouTubeがまたも規制強化、“子供向け”を装った不適切動画を取り締まり
YouTubeが、プラットフォームのポリシーを更新。「子供向け」や「家族向け」としながら、実際にはアダルトコンテンツだったり、暴力、死、不適切な医療行為等を描写したりする動画を削除対象にすると発表した。
過去に投稿されたものについても順次削除を開始し、30日の猶予期間経過後に該当する動画を投稿した場合、チャンネルに警告を行うとしている。
人気キャラクター悪用し広告収入を荒稼ぎするエルサゲート対策
『Tubefilter』は「これが2017年に表面化したエルサゲート問題に関係する類コンテンツを抑制することを目的としているようだ」と報じている(参考:https://www.tubefilter.com/2019/08/23/youtube-updates-child-safety-policies-to-remove-adult-themed-videos-aimed-at-kids/)。
「エルサゲート」とは、ディズニーのアニメーション映画『アナと雪の女王』の主人公のひとり・エルサを使って、不適切な動画が子供向けに表示されるようになっていたことから名付けられた動画の総称。『Forbes』によると、他にもスパイダーマンなどをはじめとする、子供たちに人気のあるキャラクターを描いたアニメーションやキャラクターのコスチュームを着た人物が不適切な行為を行うシーンが溢れ、「スパイダーマンがアナのスカートの中を覗いている!」といったタイトルの動画が多数の再生回数で広告収入を荒稼ぎしていた(参考:https://www.forbes.com/sites/danidiplacido/2017/11/28/youtubes-elsagate-illuminates-the-unintended-horrors-of-the-digital-age/)
人気キャラクターを悪用し巧みに子供たちを誘導し、性描写、暴力、死、危険な行為を含んだこれらアニメーションや実写動画だが、その制作は多数のスタッフで組織的に行われていたことも明らかになっている。このエルサゲート問題は、次々に大手メーカーといった大口の広告主離れも招き、YouTubeの悩みの種になっていた。
未成年者と家族の保護が最優先も、大人の監督がない子供の視聴は注意
YouTubeは今後「タイトル、説明、タグで未成年者や家族を明白にターゲットとしながら、成人向けまたは暴力的なテーマを含むコンテンツは、プラットフォーム上で許容されなくなる」としている。例えば「子供向け」などのタグ付きで、注射針を刺すような不適切なものが映っている動画だ。
2017年に『Mashable』の行った調査では、不適切で暴力的な子供向けの動画がYouTubeに頻繁に表示され、2015年にローンチされた子供や家族向けに設計されたアプリYouTube Kidsでさえも、その兆候がみられたという。
『Mashable』は「この変更が必要だったということは、不適切なYouTubeのコンテンツが親や教育者を長年苛立たせていたことを物語っている。YouTubeの新しいポリシーにより、そのような有害なコンテンツが抑制されることを願う。しかし、それでも、大人が監督せずに子供にYouTubeを視聴させてもよい、ということではない」と報じている(参考:https://mashable.com/article/youtube-bans-disturbing-kids-videos/?europe=true)。