中国のアリババ、通勤途中にアプリ注文&店舗受け取りの朝食サービス開始

 2019年7月1日、アリババグループは、新たな業態として「Pick ‘n Go」をオープンした。

 「Pick ‘n Go」は、アリババグループのニューリテール戦略で有名な生鮮食品の次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」グループの「盒馬菜市」、「盒馬mini」、「盒馬F2(Fast&Fresh)」、「盒馬小站」に続く第5の業態として、早くもそのサービスが注目を集めている。

コンビニエンスストア業態の「盒馬F2」

 「Pick ‘n Go」は、朝食を求めて、行列ができるという朝の光景を解消するため、「通勤途中にアプリ注文&決済し、店舗に着いたらピックアップするだけ」と、待ち時間ゼロをめざす朝食に特化した便利店という位置づけだ。

朝食用の軽食メニューのみ提供の「Pick ‘n Go」

 中国は日本と違い、外で食べる朝食文化をもつため、巨大な朝食市場があるといえる。よく知られる大手ファーストフード店でも中国定番の朝食メニューがそろう。昔ながらの移動式朝食ワゴンもあり、朝食を買うために長蛇の列ができている店舗も多い。こうした中、「Pick ‘n Go」は、朝食を購入するビジネスマンをターゲットに、肉まん、煎餅(中華風クレープのようなもの)や豆乳といった朝食の定番を中心に約20種類をテイクアウトのみで対応している。

 ピックアップ用のボックスは、混雑する朝にその数で足りるのかという素朴な疑問はさておき、カウンターでのスタッフとのやりとりはなく、アプリに送信されたバーコードをかざし、ボックスからピックアップするので、効率はよい。

アリババグループがよく活用するボックス型のピックアップ方法

 アリババグループはこれまでも「盒馬鮮生(生鮮食品の次世代スーパー)」、「ROBOT.HE 機器人餐庁(ロボットレストラン)」と、次々と話題と斬新な業態を世に送り出してきた。

 「盒馬鮮生」は「もう家に冷蔵庫はいらない、盒馬があるから」というインパクトのあるキャッチコピーと30分以内のスピード配送という驚異のサービスで消費者の心をつかみ、利用するためにダウンロードが必要な盒馬アプリの普及にも一役買った。現在では、「盒馬」と名のつく業態や関連店舗でも必須となる盒馬アプリはすっかり定着している。

 「盒馬鮮生」の魅力は、何と言ってもオンラインとオフラインそれぞれで消費者のニーズを満足させる多様なサービスが整っていることにある。

毎日使う?ダウンロード必須の盒馬アプリ

 オンラインでいうと、「盒馬鮮生」の実店舗に行かずとも、盒馬アプリで注文ができ、半径3キロ以内なら30分で商品が届く。30分という時間で、新鮮なものをそのまま受け取ることができ、使いたいときに注文ができるので、消費者には使いやすく、便利なサービスである。

 一方で、あたりまえだが、オンライン購入は注文時、実際に商品を手にとることができないことが難点である。少なからず商品に不安を抱く消費者は、こうして実店舗があることで、食品の鮮度や安全性を実際に自分の目や舌で確かめることができる。しかも盒馬鮮生のデリバリーは、注文が入ると、店内でピックアップ店員が陳列棚から商品を選んで専用バッグに入れ、それを天井に設置したレーンでバッグヤードに運び、デリバリー配送するというしくみを導入しているため、実店舗に並んでいる商品が届くという安心感がある。

新鮮で豊富な海鮮類は「盒馬鮮生」の大人気エリア

 また、店内には巨大な水槽がいくつも並び、ロブスターやカニなど自分で見て選んだ食材をイートインできるので、店内で新鮮な素材を味わえることも魅力のひとつとなっている。

「ROBOT.HE 機器人餐庁」。入口で盒馬アプリとテーブル席をひもづける

 その進化系が、「ROBOT.HE 機器人餐庁」である。「盒馬鮮生」の中にオープンしているので、「盒馬鮮生」で注文したものや購入した総菜などをこの「機器人餐庁」で食べることができる。

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