アプリ版『オクトパストラベラー』先行体験版プレイレポ スマホに最適化された独自UIに

「富」「権力」「名声」という3つのストーリーの軸

 Switch版『オクトパストラベラー』はRPGにしては珍しいほど重ため・暗めのストーリーが展開されることがひとつの特徴だったが、『オクトパストラベラー 大陸の覇者』もまたストーリーに独特の影が差している。

 本作ではゲーム開始時に「富」「権力」「名声」のどれかひとつのルートを選ぶことになるのだが、筆者は富ルートを選択してそのストーリーの重苦しさに驚愕した(選ばなかったルートも後からプレイ可能)。

 生きるために麻薬らしき"粉"を売っている少女。その麻薬の売買を取り仕切る大富豪の魔女。魔女に飼われる奴隷たち。そして成り上がりを目論み魔女に近づこうとするマフィアの若者ーー。

 これがRPGの第1章で語られるエピソードだとはとても思えない。だが、アンダーグラウンドな側面のあるストーリーは、プレイヤーを惹きつけてくれる。

マッチ売りの少女改め、麻薬売りの少女。クスリを買わずに断ると黒服が現れた。

 ただし、一方で前述したように仲間キャラクターがガチャ入手でしか手に入らないという都合上、パーティメンバーはストーリーに対して能動的に関わることができない。そのため、主人公を含めた勇者一行はどうしても"事件に巻きこまれただけの人"に思えてしまう。

 とはいえ、かの傑作RPG『ドラゴンクエスト3』もまた、パーティメンバーがほとんど喋らないゲームだ。仲間キャラクターの積極的なストーリーへの参加がなくとも十分すぎるほど本作のストーリーは魅力的である。

“らしさ”を受け継ぎつつもスマホで遊びやすい良調整

 『オクトパストラベラー 大陸の覇者』は、基本的なシステムはSwitch版から受け継ぎつつ、スマホで遊びやすいようUI面・システム面のアップデートが施されている。

 「スマホだからコンシューマーよりクオリティが低いのでは?」という心配は必要ない。もちろんスペックの関係でいくらかの制限は生じるが、現時点では本作は『オクトパストラベラー2』と考えても遜色ない出来になっている。

 ガチャ要素やストーリー終盤の高難易度コンテンツなどのゲームバランスは現時点では判断しかねるが、『オクトパストラベラー 大陸の覇者』は大いに期待が持てる注目アプリになりそうだ。

■脳間 寺院(のうま・じいん)
ゲーム・動画ジャンルが専門のライター。京都生まれポケモン育ち、ボンクラオタクがだいたい友達。Twitterでも面白い動画やゲームについて情報を発信中。
Twitter:@noomagame

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