“実況映え”するゲームの条件とは? ゲーム実況人気タイトルから考える

予定調和を破壊する"縛りプレイ"

 こちらはゲームジャンルとは少し違うが、ゲーム実況で独自のジャンルを築いているのが"縛りプレイ"だ。縛りプレイもクリエイティブ系のゲームと同じく、同タイトルの別の実況動画とコンテンツを差別化する効果がある。

 通常のゲームのルールに加えて、プレイヤーが自身にいくつかの制約を課してプレイ(勇者1人旅や、コンティニュー禁止など)する縛りプレイは、ゲームを通常とは全く違った角度から照らしだせる。

 開発者の意図していない難易度でプレイするゲームは、まるで別のゲームのような姿となって実況者とリスナーの前に立ち現れる。

 人気実況者"うんこちゃん(加藤純一氏)"の『ポケットモンスター』"ポケセン縛り”は、通常なら小学生でもクリアできる難易度のポケモンを、「大人がプレイしてもクリアできるかどうか」というレベルまで難化させたハイレベルな縛りプレイだ。この縛りではうんこちゃんが繰り返しリスナーにアイテムの場所や技の選択について意見を募っているのが興味深い。縛りプレイでは、難易度が高いからこそ実況者とリスナーの間にコミニケーションが生まれるのだ。

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 本来は報酬のない無意味な制約である縛りプレイも、リスナーとゲームプレイを共有することによって、そこに価値が生まれてくる。

見世物であり教材! FPS・TPSの場合

 これまで挙げてきたジャンルとは違った理由で実況映えするジャンルが、シューター系のタイトル(もしくは格闘ゲームやMOBAなど広くeスポーツと呼ばれるゲームを入れてもいいだろう)。

 シューター、特にFPSは画変わりが乏しく、似たような画面が実況動画中かなりの長時間持続する。これは通常のゲーム実況の観点からすれば、リスナーが飽きてしまうリスクがありデメリットなのだが、シューター系ゲームにはその点を補って余りあるメリットも存在する。

 シューターを含めeスポーツ系のゲームでは、リスナーが配信者に求めるのは上手いプレイだ。ゲーム実況者ではトップクラスのYouTuber"2Bro."は、FPS・TPSのプレイが上手いことが人気の理由のひとつになっている。

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 そして、華麗に敵をキルする瞬間が見世物として成立すると同時に、リスナーが自身のプレイに生かすための教材にもなり得るのが上手いシューター系実況の魅力だ。

実況映えするゲームの条件

 ここまで具体例を挙げながら実況映えするゲームについて考察を重ねたが、それでは一体どのようなゲームが実況映えするのだろうか?あくまで仮説ではあるが、私は今回の考察をもとに3つの条件を提示したい。

・実況者の強いリアクション(喜怒哀楽)を誘う
・同タイトルの他のゲーム実況と差別化しやすい
・実況者とリスナーのコミニケーションを促進する(教える←→教わる関係や、協力プレイ)

 もちろん、こういった条件抜きに単純に人気のタイトルが実況されやすい側面は間違いなくあるが、ゲーム実況だからこそ面白くなるタイトルも存在する。

 ゲーム実況には著作権の問題も付きまとうが、ゲームと実況がうまくマッチしたとき、ゲームの潜在的な面白さを実況者が引き出し、実況者のポテンシャルをゲームが引き出すという共鳴にも似た現象が起こる。

 だからこそ、ゲーム実況を見るのはやめられない。

■脳間 寺院(のうま・じいん)
ゲーム・動画ジャンルが専門のライター。京都生まれポケモン育ち、ボンクラオタクがだいたい友達。Twitterでも面白い動画やゲームについて情報を発信中。
Twitter:@noomagame

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